平成11年10月11日(祝)
愛読紙「東京人」10月号特集、現代建築ガイドブックのなかで絶賛されている東京国際フォーラムを散歩してみることにした。かねてからここのことは友人が褒めちぎっていたので一度訪ねてみようと心に留めてはいたのだが、わざわざそのために有楽町に来ることをするわけでもなく、いつのまにか頭の中にある「行きたいとは思っているんだけど・・・・・」リストに埋もれてしまっていたのだった。
この日は催し物がなんにもなく、ガラスホールだけが入ることができた。エントランスをくぐる。小さなスペースがあり、下へのびる階段とエスカレーターがある。下った地階がこのガラスホールの基点となっているようだ。地階に降り立ってあたりを見渡す。船のような細長い楕円形をしたこのガラスホールの片面半分と天井部分がすべてガラス張りになっている。柔らかい太陽光がしっかり差し込む仕組みだ。そして僕が訪れた日暮れ時は、ホール内の明るさが刻々と変化していくのだ。
静かだ。人がまばらにポツポツといるけれど、話し声が吹き抜けになっているホールに吸収されていくようで気に障らない。さっきはこの建物を船にたとえたけれど、ここ地階でガラス張りの壁や天井を見つめていると、自分が海の底にいるような感覚を覚える。話し声を吸収した空気が海水のように僕のまわりをまとわりついている。
静寂を十分に堪能したあとは、ホール側面ガラス側に沿って最上階へ登る通路を散歩してみた。最初に気が付いたのは、照明がとても綺麗なこと。通路のフットライトには蛍光灯が使われているが、反対側面つまりガラス張りでない側面にある会議室などのブース側には、白熱灯が使われている。人工的な白色と、ぬくもりのある暖かな黄色のコントラストが美しい。
通路を登り切り、反対側面の最上階に合流する。その最上階を歩き始めると、いままでまったく見えてこなかった景色が飛び込んできた。銀座の夜景だ。ここへ登ってくるまでの間、会議室などの多目的スペースによって遮られてきたために見えてこなかった、その向こうの景色が今やっとここで手に入ったのだ。さぁゆっくりと眺めよう、そう思って足を数歩向けて踏み出したが、もうそこには2組のカップルが解き放つ甘い空気が漂っていた。仕方なく遠目から見やり、元来た通路を下ることにした。
(東京国際フォーラム:http://www.tif.or.jp/forum/index.html)
1999.10.11. Camera ( Minolta TC-1), Film ( Fuji Super 400 )