平成10年11月23日(祝)

川崎港付近でイイダコ釣り?してたはず。

京浜工業地帯この季節の海風は、想像以上に冷たい。ポイントに向けて疾走する小型船舶上が、小さい波を越える度に上下に揺れながら僕と友人Yは船の速度と同じ強さの風を受けている。しかし、京浜工業地帯の脇の広い運河、船の行き来があまりなく広く見渡せるところでは、いくら冷たくても風は心地よい。友人Yが磯子で偶然イイダコを釣ったことからタコ釣りに興味を持ったらしく、本か雑誌で見たタコ釣りポイントである、川崎港扇島へ向かっているのである。

ポイントについた。岸壁では結構多くの人が釣りをしている。この人達みんな、イイダコねらっているのだろうか、もしそうであれば、イイダコ釣りは人気ってことになるが、きっとそんなことはないだろう。僕らは彼らから少し離れたところに、「そうであろう」という直感でアンカーを降ろして釣りをはじめた。そこは岸壁から20メートルくらい離れているが、その岸壁に人が立ち入ることができないので僕らは少し悦な気分になっていた。

京浜工業地帯2タコの仕掛けを教えてもらって作ることにした。タコは白いモノに寄ってくるらしい、白いブローチに(返しのついてない)大きめの針が3本出ているものを釣り糸に結ぶだけである。結構な重さである。エサはいらないらしい。ということは、タコ以外の獲物が釣れることは全くないのである。少し残念だが、釣れたイイダコはとっても美味いに違いない。船が常に上下に揺れている。ここは入り江の奥まったところではないので、揺れるのは当然であるが、たまに少し離れたところを通る船がその波を強めてくれる。岸壁からの帰り波もあってやっかいだ。

釣りをはじめる。仕掛けを投げ入れる。水深5メートルくらいあるのだろうか、底についたのが確認された。仕掛けがそこでゆっくりと動くように、リールを巻いたり竿を動かしたりする。この前のハゼ釣りみたいにすぐアタリは来ない。しばらく繰り返してみる。船が断続的に揺れている。僕の不安が次第に大きくなってきて、きっと「なるだろう」と思うようなってきた。それは当然、船酔いである。こういうのは未体験なのだ、しかも子供の頃は車酔いをよくする子供であった。波に慣れなければならない、そして体の調子を逐一確認する必要がある。いつのまにか僕は無言になっていた。

防波堤「船酔い大丈夫か?」
友人Yは、気を使って僕に聴いてくる。
「うん、いまのところ。」
あまり余裕のなさそうな声だ。タコはいっこうに釣れない。

「タコの当たりはなぁ、地球釣ったみたいに重いらしいよ。」
「ふぅーん、重いんだぁ。」
っと教えてもらったときに、グイッときた。アタリだ。僕は立ち上がってリールを巻く。イイダコの大きさを知らない僕は、この地球を釣っているような重さから、結構大きなものと感じている。強く引く、リール巻く、引く。3回目に竿を引いたとき、あの地球の感覚が抜けてしまい、タコが逃げ去ってしまったことを確認してしまった。

防波堤2その後、いっこうに魚信りが来なく、少し僕は船酔いを感じ始めた。釣れないので、友人Yは船を移動させて、防波堤裏側の比較的波の少ないところにつけて再び釣りをする。陽が強く照っていて、波が穏やかなので眠くなる。釣れる気配は一向に来ないから、ますます眠くなる。船酔いは結構収まってきたようであるが、ここは少し眠っておくのも一つの手じゃないかと思って横になってみる。それが甘かった。僕が横になった向きが悪かったようだ。どうも頭の方が低かったらしい、とたんに気持ち悪くなる。僕は我慢できずに立ち上がり、船の外に顔を突きだして嘔吐する。ハゼ釣りの仕掛けでやっていた友人Yは気遣ってくれる、がそんなときにも貴重なアタリがやって来た。友人Yはリールを巻き上げる、結構大きいらしい。僕は水面を見つめながら彼の歓声を聞いている。

結局、この後二人に全くアタリはなく、ハゼ一匹が釣れたのみであった。
僕は、もう一度、つまり2回吐いただけであった。

1998.11.23. Camera ( Pentax ESPIO 140 M),  Film ( Fuji Super G ACE 400 )

Back to index