平成10年11月15日(日)

青山5丁目紀伊国屋インターナショナル

"Mariah Carey" BUS渋谷に行くときはいつも表参道駅で降りることにしている。ケチな話だが、渋谷駅で降りるのと表参道駅で降りるのでは30円違うのである。時間を短縮することより歩きながら感じることのほうを優先して、ひとつ前の駅で降りてしまう人間は僕だけではないだろう。だからいつも僕は表参道で降りて宮益坂を降りて渋谷駅に向かう。そう、行くときだけである、帰りはあの坂を登らなければならないのでたいていこんなことはしない。しかし今日はついそれをしてしまった。表参道から帰るために渋谷から歩いてきたのである。

今日はいろいろと買い物をしすぎてしまった。洋服を少し買ったまでは予定どおりであったが、渋谷に来て「オランジェリー美術館展(bunkamura)」を観るはずが、あまりにも混んでいて入場するのに10分待ちという状態だったので、「また今度。」にしたまではよかった。だけどその帰り道、ふらふらと写真撮りながら寄り道してたら、Disk union でジャズのCD「SOLO Live (Michel Petrucciani)」を衝動買いしてしまったのである。これは予定外であった。戒めの意味を込めて今日は30円をケチろうと決めたのである。

一日中今日は歩いていた。朝からずっとである。実質5時間は歩いているだろう。そしてやっと今しがた、あの宮益坂を登り切ったところである。表参道駅まであとほんの少し。膝が少し痛い。もう夕暮れである。最近暗くなるのがめっぽう早くなったと思う。これから5時だというのに、あと少しで夜景がきれいに見えてくる時間になってしまう。

歩道を歩く僕の左手にあるビルの少し奥まったところから明かりが強く漏れてきている。ふつうのテナントにしては奥の方から光が照っている。なに?って思った瞬間、焼きたてのパンのにおいがし、灯りの向こうにはいくつかの商品と買い物客の姿が目に入った。「あぁ、スーパーか」。看板を見ると紀伊国屋インターナショナルであった。「青山にある紀伊国屋」、「現在一人暮らし独身(当たり前か)」、「とりあえず自炊してる」状態である、僕の触覚が中に入ることを拒む理由はひとつもなかった。

中にはいるとすぐにあるのは、青果売場だった。主婦ではないがまず最初に値札を見てしまう、やはり地元スーパーより高いようだがいいものが置いてあるのだろう。初めて見る野菜もある。オランダ産の「枝付きトマト」なんてものもある。少し奥に行ってみる。調味料売場がある。なんだかいろいろ、見たこともないものもあるようだ。そのうちの一つを取ろうとしてみようとして手を伸ばしたが、僕の側に外国人の女性がいるのに気がついた。金髪で長身、180cmは悠にある。彼女が調味料の一つに手を伸ばしているのに見とれてしまった。絵になっている、そうここは青山なのだ。少し周りを見てみる。僕にもそんな余裕が出てきた。さっきの外国人女性とその友人(彼女も同じくらいの身長だ)、地元に長年住んでいると思われる50歳くらいの女性、ベビーカーを押しながら商品を眺めている若夫婦、そして青山にやって来たと思われるカップル達、いろいろな客層で賑わっている。きっと僕は地方(この場合は青山周辺よりも外)から来た冷やかしの客と思われているのだろう、この中の空気に、僕はまちがいなく浮いているはずである。

セサミソース反対側の棚に移る。オリーブオイルが置いてあるが、たくさんの種類があって僕には区別が付かない。日本語で書いてある瓶は一つもない、判るのは値段と量だけだ。端にあった少し大きめの瓶を取り上げてみる、オリーブオイルと思ったその瓶は「グレープ・シード・オイル」というものであることが、瓶の横に貼ってあった日本語のラベルが教えてくれた。いったいどういう味がするのだろうか、使い道は?それより一体、こんな量のオイルを取りfだすのにどれだけのグレープ・シード(つまりブドウの種)がいるんだろうか?こんな種の中に油が入っていたのか?なんて思ってしまう。グレープ・シード・オイルのまわりを見渡してみる。他にも変わったオイルがある。「パンプキン・シード・オイル」、「ウォルナッツ・オイル」etc.。青山ではこういうオイルを使い分けているのだろうか。

店を出る。「ここでしか買えないようなものを」と思って買った「セサミ・ソース」をカバンの中に入れる。今日はこのソースを使って豚肉のソテーにしよう。今日の夕食はなんだか美味しそうだ。また予定外の買い物をしてしまったが。

1998.11.15 Camera (Pentax ESPIO 140 M),  Film ( Fuji Super G ACE 400 )

Back to index