平成13年4月15日(日)

宇田川町の朝。

 渋谷という街は、魅力的だがあまり好きになれていない。最初に慣れた東京の街が新宿で、新宿と比較して渋谷まで足を延ばす機会が少なかったこともひとつの理由だが、重ね重ね渋谷にやってくるようになった今でも(大抵の目的が映画だが)この街で心を休める処を知らない。特に、落ち着ける喫茶店を見つけることが出来ていないのだ。

 渋谷は狭い街だといつも思う。すり鉢状になっている地形の底にあたるところに渋谷駅がある。そして、主要な道はすべてすり鉢の底にある渋谷駅に向かって延びているので、物や人の動線は渋谷駅を起点・終点としている。また、平坦でない地形のせいもあって、みな駅ちかくに店を構え、駅から排出された人をなるべく多く吸い上げることにしのぎを削っているようにみえる。

 その「すり鉢」の底からかなり離れたとある場所に入ったとき、急に安らぎを得たときがある。宇田川町の奥や神山町である。センター街の終点のさらに先であり、bunkamuraのある東急よりも少し先である。店が少なく、人通りも少なく、住宅までもある、渋谷のにおいが全くしない街なのだ。

 ここは朝の散歩がいちばん気持ちがいい。朝の太陽が、朝の新鮮な空気が似合っているのだ。家の植栽も、公園を兼ねている通りの植木も、晴れた朝を喜んでいる健康そのものの姿をしている。人通りも疎らであり、みな大抵、目的を持った意志がある歩き方をしている。ベクトルを駅に強く向けていたり、反対方向のNHKに向いていたり・・・・・・。そんな、渋谷っぽさが現れていないところが気に入ってしまったようである。そして僕はここで観察者となって漂っているのだ。

 渋谷でありながら渋谷の顔をしていない空間、それが奥宇田川町や神山町でる。僕がここでの散歩を続ける限り、渋谷に馴染むことはないんじゃないかと思ったりもしている。

渋谷的な壁のアート!!

2001.04.15. Camera (Minolta TC-1),  Film (Fuji SUPERIA 400)

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