平成12年9月21日(木)
本を読みたい。それがどうにも止まらないのである。今週は休暇(かなり遅い夏休み)で時間を持て余しているからかもしれない。5日間の休みをとりながら、何処にも行く予定を立てず、誰にも会う約束もしていないからだ。
だから今日は神保町にやってきた。もちろん、本を読みに、である。わざわざ出かけなくとも、そんなこと家で充分じゃないかと他人は言うだろうが、家の中でする読書と外でする読書とでは、いろんな意味で違うことがあるのだ。特に心地よい喫茶店では格別で至福な時間になるときがある。
昼食を「天ぷら いもや」で済ます。まだ時計は正午をさしていないのにもう満席である。しかしこの店は客の回転が速い。だからあまり待たずに席に着ける。また、席に着く前に注文は済ませているので、席についてもそれ程待たずに品が出される。ある意味、天ぷら屋の準ファーストフードってところであろう。
済ませて店を出たあと、軽くひとまわり歩いてから喫茶店に向かう。実は既に前日から、読みに行く店を決まっていた。もう数年訪ねていなかった店があり、その店が雑誌−−有名誌ではなかったが−−に載っていたからだ。
その店は、路地裏にあり、狭い階段を登った2階にあるので一見ではなかなか入りにくい。ようやく階段を登り重いドアを押し開けると、そこは懐かしの空間が、前と全くかわらぬ軟らかい空気達が、ふわっと自分を包み店の中へと案内して引き込んでいった。奥のテーブル席に座る。というより陣取るといったほうが適切かもしれない。水が出される。ブレンド珈琲と言葉を返す。鞄から本を取り出す。はさんだ栞のところを開く。文字を追う。・・・。・・・。
僕は珈琲が好きだが、珈琲の旨い不味いについて語ったり、うんちくを垂れるほどの器ではない。喫茶店の珈琲の味の半分くらいは、間違いなく店の雰囲気や空気だと思っているたちである。個人的に苦いのが好きと言う程度だ。だから、旨いのかどうかと人に訊かれた場合、答えに困ってしまうことがある。そういうときは大抵「好みの問題もあるから自分で確かめて頂戴な。自分はこの店は好きだよ。」といって誤魔化すこともある。
この日、この喫茶店で初めて気がついたことがある。この店の珈琲は冷めても渋くならず、すぅっと口に、喉に、胃に入っていくのだ。も一度それを確かめたくて、おかわりを頼む。ちなみに2杯目以降は300円と気前もいい。やはり読書するにはうってつけの店だ。
2000.09.21. Camera (Minolta TC-1), Film (Fuji SUPERIA 100)