「トカラへの旅…」



Photo/クールマン・仁階堂・おかとも  Text/おかとも


…5月28日 10時
ステラ10000PGに真新しいPEラインを巻いていた僕の携帯に「今から乗りまふ…」とメールが届いた。
この日、福江島からフェリー太古に乗り、15時30に生月へ上陸するクールマンからのメールだ。

昨年の宮崎遠征に続き今年もタックルを引き連れて九州本土に上陸するクールマン。
そんな彼を待ち構えているのが、板垣・仁階堂・男前田・おかともの4人衆。
そして黒潮ど真ん中に点在する鹿児島県十島村。日本最後の秘境と称される「トカラ列島」の島々だ。

16時すぎ、予定どおりクールマンと合流。
仁階堂くんの同僚である大野君を含めた「トカラ列島釣連隊」(つれんたい:隊長/男前田)
の6名は平戸を後に一路、鹿児島へと向かい車を走らせた
「トカラ列島の旅」の始まりである…



ハイウェイをひた走ること4時間あまり。21時30分、鹿児島ICを降りて市内へと入る。
「フェリーとしま」のターミナルへ向かう途中で現地での水分と船内用のアルコールを大量に買い込む。
ターミナルビルの向こうに「フェリーとしま」が見える。「トカラ」という言葉が現実味を帯びた瞬間だった。
クールマンと僕の2人は今回が トカラの旅初体験!
2人とも妄想が膨らみすぎて「ヤバイヤバイ眠れな〜い」を連呼していた日々が続いていたのだ。
「ホントにキター!」船体のTOKARAという文字が何となく誇らしげに感じる。
そんな余韻(?)に浸る暇も無く切符を買いタックルを預けて乗船。
自分たちの寝床を確保し船内のレストランへと移動。出港を迎える前に乾杯!



23時50分、鹿児島港を出港。
賑やかに過ごしていた僕らの元に偶然にもマルカさんが登場。
「こげんとこで何しよっと?」「わざわざ平戸から来たと〜」と少々面食らい…
「いえいえ。マルカさんの守備範囲から比べたら可愛いもんです(笑)」と、しばし談笑。

次にお見えになったのが大久保幸三さん。何でもマリチャレから下船後にフェリーとしまに乗船されたとか…(驚)
そんな大久保さんに向かって、男前田君が「金縛りの解き方」を伝授していた。
男前田君は真面目にレクチャーしていたのに、大久保さん馬鹿ウケしてた!(笑) まあ当然か!(爆)
笑い声と共に夜は更けていく。薩摩焼酎「おやっとさぁ」が無くなる前に床についた……



…5月29日 5時
薄あかるさよりも蒸し熱さで目が覚めた。南国だから!?いや少々違う。
隣で寝ている某君の太ももが生暖かいのだ。某君は確かミディアムホットマン?とか言ってた。
向こう側へ蹴飛ばしても戻ってくるので起床しデッキへ出た。
海の色が日頃見慣れている海とは全く違う。
薄れ行く朝モヤの中にトカラ列島最初の島「口之島」が見え出した。
Drコトーが似合いそうな海岸線の道。まるで絵のようだ。何とも言葉にならない…。



29日7時、目的地である中之島に接岸。
記念すべき上陸だったのだが左右どちらの足から地についたのか覚えていない…

数ある島の中で中之島へ上陸した理由…
仁階堂くんの同僚である大野君の実家がココ「中之島」なのだ。
つまり、大野君は里帰り…で、僕らはそのオプション。
大野君ちのご両親にしてみれば毎年帰ってくる息子が増えているってワケ。

桟橋から大野君家はスグそこ。しかし預けた荷物は1時間程待たないと手元に届かないらしい。
そういえばトカラのパンフレットに「刻を忘れさせる島」と書いてあった。
のんびりと朝食をご馳走になり周囲を散策してみた。

家の横には野生の「トカラバナナ」や「ガジュマル」の木が生えている。
どことなく違う潮の香りが南国ムードを一層高める。



「うほほほほ〜っ」大野君家の小屋の中でエギを発見!
それもデカイ!&カワハギ型アリ!!リールはこのタイコリールなのか!?そいつを抱く烏賊って一体???(驚)




…トカラ時間9時(たぶんそれくらい?)
タックルを準備が整うと大野君家の車を借り磯へと向かった。
今回のメインターゲットはカスミアジ。タックルは普段使用しているヒラスズキタックルを持ち込んだ。

中之島でヤブコギ開始!ココのヤブは笹である(正式には何笹かしらないけど…)
この島にはヘビが居ないらしく安心してヤブコギが楽しめる。
しかし島内の何処の磯へでもアクセスするなんてことは絶対不可能。
磯伝いに歩くことは出来ても飲み物が切れたら死ぬかも…?そう思えても不思議ではないほどのスケールだ。



腰ぐらいの笹を掻き分けながら磯へと降りる。
ベタ凪ながらも瀬際には微量のサラシが発生していた。




みんなで記念写真をとりタックルを準備する。
コバルトブルーのカスミアジに出会えるのだろうか?



ドキドキしながらのトカラでのファーストキャスト!
物凄く透明な海。足元の水深もほどほどあるのに海底付近までよく見える。
回収するルアーの下で赤いヤツ、緑のヤツ、青いヤツが見え隠れしている。
突如目の前に物体が浮上!?
その正体はウミガメだった。ここの海には何処にでも居るらしい。現に何処へ行ってもウミガメが居た。
なんかもう満足してきた。この空間におかれているコトが至上の楽しみである。

 そんな感情に浸りながらキャストしていると 仁階堂君・板垣君に カスミアジ がヒット!
僕には スマガツオ がヒットしてきた。
初めて見せてもらったカスミアジ!美しい〜感動モノだぁ。



それから間もなく(トカラ時間)して仁階堂君のティファ「ブラックライド」が大きく曲がった!
「おお〜っ キター!!!」



この引きはカスミちゃんなんかじゃない
魚はスリットからリーフのアウトサイドを潜行しながら抵抗を繰り返す。
ヒラスズキタックルの為当然無理は禁物。全員がドキドキしながら水面に目を凝らす。
透き通った水面に静かに浮上したのは「ロウニンアジ」 2本のボガグリップを掛けて無事にランディングした。




お〜し獲った〜!
「80cmOVER / 14lb.OVERのGT」だ!


ナイロン12lb.テストラインでキャッチ!お見事!!パチパチパチ(^O^)
タイドプールに入れたGTを見ながら一同余韻に浸る…
リーダーはヤスラレテ、ザラザラ。ヒットルアーは松ペン!


何となくカスミアジのパターンが見えてきた(?)トカラ初体験の僕らにも時折カスミアジのチェイスが見られる
何処からともなく突如として現れ、ゴツン!とバイトして猛ダッシュ!突然襲ってくる為気が抜けないな。
ヒラスズキを狙うのと全く異なり、ポイント移動を繰り替えすよりも 1箇所で粘って回遊を待つほうが得策のようだ。

突如リトリーブするルアーの後ろに水柱が上がりルアーが宙へと弾かれる…
残念ながらバイトまでいかず…しかし、ドキドキしまくりでキャストを繰り返す!「お〜タマラン!面白い!」
しかし、手持ちの水分が心細くなってきた為一度車に戻ることにした。
(…トカラ時間13時30分)



少しの休憩の後ポイントを移動することにした。
トトロが出てきそうな「竹のトンネル」をくぐり磯を目指す!
トンネルから出てくると「いかにも!」と言いたいくらい潮通しが良さそうな磯である。
足元の水深もかなりありそうな場所で、沖には小さな瀬が見えている。



開始早々「あわや」という物体に遭遇した!
ヒラスズキ用のミノーの後ろを軽く1m以上あるGTが着いてきたのだ!
「ヤバイヤバイ!あれは掛けても獲れないよ〜」と言いながらもチャッカリ トゥイッチングを入れてみた。
しかし無事にバイトせずにUターン。いや〜あれにはビックリした…

そうこうしているとクールマンが操るカンニバルにヒット!
「おお〜綺麗だ〜」クールマンもニッコリ満足!


僕もブルースコードで待望の初カスミちゃんをキャッチ。
板垣君のTDペンにはアオチビキが飛びついた。ガッポリと咥えていたため少々困惑気味…



(…トカラ時間16時30分)

対向車なんて全くこない道路をトロトロと帰る。
車のエンジンを切ると かすかな風の音以外、何の音も聞こえてこない…
壮大な自然の中にひっそりと佇む……いいもんだ……



ちょっと時期が早そうだが「クワガタ居らんキャ?」ってなことでトラップ作り…
異臭漂う秘伝のタレを作り、鹿児島コンビニで買ったパンストに詰め込む。
強烈な匂いに鼻を摘みながらの作業。しかしあの匂い…今思い出しても鼻の奥がツ〜ンとする。



「トカラの夜…」

今回のトカラ釣行のオプショナルプランがココ!暗くなる前に下見をした。
モノ凄〜く広い堤防だ。水面まで10メートル以上あるみたい…


とりあえず大野君ちへ戻り冷えた缶ビールを飲む。
からっからの体に激冷えの缶ビール。食道まで届くまえにノドちんこ周辺で気化しちゃってる感じ…
デジカメの写真を見ながらほてった体をクールダウン。
オプショナルプランのタックルの準備をはじめた。

「トビウオも入り始めたようだ」との有力情報にドキドキしながらも、半分以上は恐怖感が先行していた…
ここはトカラである。何があっても不思議じゃない所だし、そう思うとなおさら…

(…トカラ時間21時)
「堤防から絶対に落ちないコト」 親父さんにそう言われながら出撃した。
辺りは真っ暗、堤防にも外灯なんてものは無い。
時々顔を覗かせる月のあかりと懐中電灯だけがたよりだ。
真の闇に包まれた堤防の内奥ではトビウオを獲るために島の漁師さんが網を張っている。
時折暗闇の中で捕食音が聞こえる。
音の大きさから表現してもライズと呼べるような可愛い音じゃない…ボイルという表現もあてはまらない…

真っ暗な海へGTポッパーを投げるのは怖い…
もしもドデカイ奴がヒットすると闇の中に引きずり込まれるような感覚に陥りそうだ
ここはトカラ。ヒットする魚のサイズは選べない…

ファーストキャスト後、立ち位置を2歩下がった。
ユックリとアクションを入れリーリングをしていると自分の右正面側で捕食音がした。
回収したルアーをキャストし軽くアクションを入れる。
「ボゴッ、ジュジュジュジューーーーーーーーーーーっ」
「おわ〜〜〜っ!」  ポロっ……
「…何?今の…??? 何か居るぞ!」心臓はバクバク…


そのスグあと、「ジュジュジュジューーーーーーーーっ」板垣君のドラグも鳴る。
「うお〜〜〜っ!」    しかし、、ポロッ……
一瞬にしてルアーに歯型が………
一体何なんだ………ココの海は………


その数投目、僕がキャストしていた方向で捕食音!
手元に「ガツーーーーーン」という とてつもない衝撃がきた!

たちまちラインが引きずり出されていく。
そんなコトにお構いなく満身の力を入れて数発のフッキングをかませてロッドエンドをギンバルにセット。
これまで経験したことのないパワーでラインが引きずりだされる。
この瞬間すでに恐怖感は無くなり案外冷静だった。(たぶん)

ドラグを締めてもおかまいなしに走り出すターゲットに追い合わせをいれる。
暴力的に頭を振りながら抵抗するターゲットに合わせて広い堤防のうえを移動しながらのファイトが始まった。

ゼナック・ミュートス110HHはフルベンド。ロッド自体が程好く曲がってくれるので体に係る負担は驚くほど少ない。
堤防の上を左右に移動しながらのファイト。常にターゲットの頭の位置を把握しながらファイティングポジションを変えていく。
しかしスゴイ!そして強い!こんなの初めてだ。

15分くらい経過しただろうか、暗闇の中にうっすらと魚体が確認できた。
懐中電灯の光の中に浮かび上がったのは……  「サメ」
足場が高いのでイマイチサイズが分からない。
僕としてはGTだろうがサメだろうがどうでも良い。これからコレをどうするか?なのだ。

仁階堂君の落としギャフで引きずり上げることにした。
しかしサメの皮膚にはギャフがなかなか掛からない。
引きずり上げる為に30分ほど経過した気がする。
メンバー全員が協力してくれてやっとこさ引きずり上げに成功した!
な・なんと!想像以上にデカイ!!



全長は軽く180cmOVER!
(サメに詳しい知人の話では40キロぐらいはあるそうです)



いやいや、しかし「凄かった」
暴力的な引きを存分に堪能させてもらいました
リーダーもサメの肌でヤスラレテ真っ白。
この後僕はしばらく休憩。



それから間もなくして仁階堂くんにバイト!
しかしPE8号がブツリ…といってしまった。
メタルジグを沈めていたらしいのだ。残念ながら正体不明…


相変わらず港内には魚っ気がムンムン漂っている。
間もなくして男前田君のメタルジグにギンガメがヒット!
落としギャフを使いランディング。ウエイトは7k台だった。
本人曰く、「ちょっと痩せた、体高のないGTですね」(笑)

トカラの海中にはこんなサイズはウヨウヨしてんだろなぁ〜。


その後、仁階堂君のルアーめがけて水柱があがった。
真っ暗闇の中でもハッキリとわかるド派手な水柱に歓声があがった。
しかしフッキングの後無念にもブレイク…
バイトの感じからGTだったと思われた為非常に残念だ。

それから暫くして僕が静めていたメタルジグに「コンコンコンコン!」とティップを叩くようなバイト
フッキングを入れると一気に走りはじめた。
ドラグを締めこんで行くのに引きずり出されるラインはさらに勢いを増す。
さっきのサメのファイトと比べると格段にスピードが早い!
スプール内のラインが見る見る減っていく。

ファーストランが落ち着いた所で「慎重に」と思った瞬間フッと軽くなった。
リーダーブレイク…多分飲まれていたんだろう…相手はイソンボか?


この後港内は静まりかえってきた。時合いは終焉を迎えたようだ…
タックルを片付け温泉に向かった。
シャワーで汗を流し「いざ浴槽へ!」
しかし片足つけた瞬間足の裏がシビレタ。
猛烈な熱さだ!こりゃ源泉温度100パーセントに違いない。
トビウオ漁をしていた爺さんはその熱湯を体で掻き分けて入っていったらしいのだが
どう考えても、ラッシャー板前の「熱湯コマーシャル」状態の温度なのだ。
爺さん、あなたは凄いよ!

大野君ちへ帰り寝ている間、僕の片方の足はずっとジンジンしていた。



5月30日(…トカラ時間9時)
大野君ち前で出港までのチョイ釣りへ出かけた。

グッドサイズのカスミアジがバイトしてきた。
しかしホント凄いねぇ〜。強いし、美しい。
クールマンにヒットした南国らしい一匹
魚の名前はわからないが「いい顔」をしている!

昨日作ったトラップにはアリしか寄ってなかったらしい。
次回はトカラのクワガタを見たいものだ。

(…トカラ時間12時すぎ)
フェリーとしまが入港してきた。
別れの時である。
大変世話になった大野君のお父さんが「また来いよ〜」と見送ってくれた。
ホントにお世話になりました。有難うございました。



「鹿児島へ向けてしゅっぱ〜つ!」
「フェリーとしま」はキャプテンの合図と共に静かに出港した


心の底からのんびりとしながら、ドキドキの連続だったトカラ列島・中之島。
また来年も行こう!トカラ列島釣連隊!


この手付かずの大自然がいつまでも残りますように…