「環境ホルモン問題について」
最近、東京・多摩川に住むオスの鯉から精巣の中に卵を持つものが見つかっています。また、全国の海岸で見られるイボニシ(巻き貝の一種)のメスにペニスが生えるという現象も起きています。こうしたインポセックスを始めとした「生殖異常」の例が、近年世界各地より報告されています。巣を作らないワシ、孵化しないワニやカモメの卵、子供を生まないミンク等その数は非常に多くなっています。そして、これらの生殖異常の原因として、「環境ホルモン」あるいは「内分泌(エンドクリン)撹乱物質」と呼ばれる化学物質の影響が考えられています。
1996年3月に米国で出版されたシーア・コルボーンさんらの著書“Our Stolen Future”(邦題「奪われし未来」、翔泳社刊)では、このような生殖異常の例が数多く報告され、内分泌撹乱作用をもつ化学物質が環境にどの程度存在し、私たちがこのような物質にどの程度曝されているのかなどについて研究を進めていかなければならないと警告しています。
そこで、『環境ホルモンの問題』について、私なりにまとめてみました。
− 目次 −
| ・ | 環境ホルモンとは |
| ・ | 世界各地よりの生物異常の報告 |
| ・ | 人に対する影響の可能性 |
| ・ | 環境ホルモンと疑われている化学物質 |
| ・ | 国際的取り組みの状況 |
| ・ | わが国における取り組みの状況 |
| ・ | 今後の課題 |
| ・ | 環境ホルモン問題に関する資料およびサイト |
<環境ホルモンとは>
「環境ホルモン」とは、生体の成長、生殖や行動に関するホルモンの作用を阻害する性質を持っている化学物質のことで、正確には「内分泌撹乱化学物質(Endocrine Disrupting Chemicals、あるいはEndocrine Disruptors)」と呼ばれています。
内分泌系は、ホルモンとそれを分泌する内分泌腺からなっていますが、どのようなホルモンでも、その過剰や不足により病的症状を引き起こします。内分泌撹乱化学物質は、生体内でホルモンのようなふるまいをして本当のホルモンの働きを撹乱したり、ホルモンの働きを邪魔したりして、生体の生殖や発育という基本的機能に障害を与えます。
現在、内分泌撹乱化学物質として70種類に及ぶ物質が疑われていますが、これらの中には、ポリ塩化ビフェニール(PCB)やDDT、ダイオキシン類のほか、界面活性剤の成分であるノニルフェノール、ポリカーボネート樹脂やエポキシ樹脂の原料であるビスフェノールA、塩化ビニル樹脂の可塑剤に用いられているフタル酸エステルといった現在も広く使われているものも含まれています。
世界各地より生殖に異常のある野生生物の例が数多く報告されています。
イギリスでは1980年頃、下水処理場の下流で雌雄同体のコイ科の魚「ローチ」が発見され、社会問題となりました。10年余りにわたる調査の結果、羊毛工場で使用されていた界面活性剤の分解物であるノニルフェノールが原因物質の一つであると指摘されました。更にショッキングだったのは、米国フロリダ州のアポプカ湖で見つかったワニです。調査の結果、オスの大半にペニスが正常の2分の1から4分の1といった脱雄性化が見られました。原因は1980年に近くの農薬工場から流れ出たディコホル、DDT、DDEによる汚染であり、孵化率の低下や孵化後の死亡率の高さも認められています。
我が国においても、1990年から1992年にかけて全国32地点で巻き貝の一種であるイボニシとレイシガイを採取し調べたところ、一地点を除き全ての地点でメスの貝にペニスを持つインポセックスが認められました。この原因物質としては、船底塗料に使用されていたトリブチルスズやトリフェニルスズが指摘されています。
このような環境ホルモンの影響と見られる異変は、遠洋の海に住むイルカや鯨、アザラシなどにまで及んでいます。世界各地より生物異常の例として次のような現象が報告されています。
| 分類 | 生物 | 場所 | 内分泌撹乱作用 | 推定原因物質 |
| 巻貝類 | エゾバイ科 (複数種) |
シンガポール、 インドネシア、 マレーシア |
雌のインポセックス | 船底塗料由来のトリブチルスズの可能性が高い |
| イボニシ、 レイシガイ (アクキガイ科) |
日本 | 雌のインポセックス | 船底塗料由来のトリブチルスズ及びトリフェニルスズが原因物質 | |
| 魚類 | サケ属 | 米・五大湖 | 甲状腺の過形成 (疾病率100%)、 雄の二次性徴欠如、早熟 |
甲状腺腫誘発物質、未特定なるも多数 |
| ホワイトサッカー (サッカー科) |
米・五大湖 (スペリオル湖) |
成熟遅延、生殖巣縮小、 加齢による生殖能の低下、 雄の二次性徴欠如 |
製紙工場の排水、化合物は未特定なるも多数 | |
| カダヤシ (メダカ目) |
米・フロリダ州 | 雌の雄化(シリビレ伸長) | 製紙工場の排水、化合物は未特定なるも多数 | |
| ローチ (コイ科)、 ニジマス |
イングランドの河川 | 精巣発育遅延 | ノニルフェノールなどの可能性あるも、排水処理場放水中の女性ホルモンの関与否定できず | |
| 爬虫類 | ミシシッピーワニ | アポプカ湖 (米・フロリダ州) |
雄:ペニス矮小化、精巣機能不全 雌:超雌個体の出現、卵胞での 異常卵・多卵、卵巣の退行 幼体:低孵化率、死亡率上昇 |
湖内に流入したDDT、ディコホルとされるが、データが少なく断定はできない |
| 鳥類 | ヤマシギ、ハイタカ、ミサゴ、ミヤマガラス、ヨーロッパヒメウなど | 英国 北アメリカ |
産卵数減少、繁殖期遅延、産卵 失敗、卵の小型化、卵殻薄化、 破損卵増加、卵内での 死にごもり増加など |
野外での使用開始時期と影響の発現との整合性および毒性試験結果より、DDT、DDEと断定 |
| アメリカオオセグロカモメ | サンタバーバラ島 (米・カリフォルニア州) |
雄:雌化、個体数減少 雌:レスビアン個体出現、 生殖器の退行 |
データの欠如により現段階では特定できない | |
| セグロカモメ | 米・五大湖 | 甲状腺異常 (肥大、上皮組織過形成など) |
含ハロゲン有機化合物(DDT)の可能性もあるが、データ不足のため特定できない | |
| ハクトウワシ | 米・五大湖 | 低孵化率 | PCBまたはDDE(DDT)の可能性あり | |
| アジサシ、 カモメ |
米・五大湖 | 雄の両性生殖器官具有化 | PCB、DDTとの説、知見少なく特定困難 | |
| 哺乳類 | カワウソ、 ミンク |
米・五大湖 | 繁殖激減 | 餌魚中のPCBの可能性が高い |
| フロリダパンサー | 米・フロリダ州 | 雄:精子数減少、潜在精巣症、 雌:不妊 |
女性ホルモン作用を有する農薬との説があるが、データが少なく特定困難 | |
| 「内分泌(エンドクリン)系に作用する化学物質に関する調査研究」報告書(平成9年6月) (社)日本化学工業協会、(社)日本化学物質安全・情報センターより |
||||
![]() |
| 日本全国で確認されているインポセックス状態のイボニシ。 |
| 〜左が正常なオス、右がメス〜 |
| メスには輸卵管とともに輸精管、ペニスが形成されている。 |
野生動物に見られる環境ホルモンによるものと考えられる異常は、人類にも及んでいないのでしょうか?
まだ断定的なことは言えませんが、環境ホルモンによるものと考えられるいくつかの例が報告されています。
その一つが精子数の減少です。1992年、デンマークの研究グループにより、正常な男性の精子数を分析した結果、成人男性の平均精子数は1938年当時精液1cc当り1億個あったものが、1990年には5〜6千万個に減少していたと報告されています。また、フランスでは、1945年生まれと1962年生まれの男性のそれぞれ30歳のときの平均精子数を比べたところ、45年生まれの男性の精子数は精液1cc中1億2百万個であったのに対し、62年生まれの男性のそれは平均5千百万個であったとの報告がなされています。精子数の減少については、その他の国でも調査され、フィンランド男性の精液中の精子濃度は1958年から1992年の間で変化は見られないという報告や、米国における過去25年あるいは21年間で精液中の精子濃度の変化は認められないといった反論もなされています。環境ホルモン作用のある化学物質の例として、1971年まで流産防止などの目的で米国を中心に使われていた合成女性ホルモンDES(ジエチルスチルベストロール)の影響も報告されています。妊娠期にDESを服用していた母親から生まれた若い女性に膣がんが数多く発見され、また、男性では停留精巣や精巣がんなど生殖器官の異常が多く見られています。
女性の乳がんや男性の精巣がんが最近増加しているとの報告もなされていますが、これらの原因としても環境ホルモンの影響が疑われています。動物実験の結果等より環境ホルモンがヒト精子及び精子形成に悪影響を与えることは十分に予想されると言われています。また、野生生物で報告されている甲状腺の機能異常、妊娠率の低下、生殖行動異常、生殖器の奇形、脱雄性化、雌性化、免疫機能の低下といった生殖・発生影響は、実験動物においても環境ホルモンの投与によって引き起こされています。
ヒトでの研究では、DES、ダイオキシン、PCBなどに急激かつ大量に曝された場合の影響は報告されていますが、少量の環境ホルモンにより慢性的な暴露を受けた場合の影響については、明らかにされていません。しかしながら、動物に見られた異常が人類にも起こりうることは十分に考えられ、今後、更に調査研究を進めていくことが重要です。
1997年7月にとりまとめられた「環境庁/外因性内分泌撹乱化学物質に関する研究班中間報告書」には、内分泌撹乱作用が疑われる化学物質として次のものが取り上げられています。
これらの物質の概要については、こちらを参照して下さい。
(工業薬品、環境汚染物質)
| ダイオキシン類(ポリ塩化ダイオキシン及びポリ塩化ジベンゾフラン、 Polychlorinated dioxin and Polychlorinated dibenzofuran) |
| ポリ塩化ビフェニール類(Polychlorinated biphenyls、PCBs) |
| ポリ臭化ビフェニール類(Polybrominated biphenyls、PBBs) |
| ベンゾ (a) ピレン(Benzo (a) pyrene) |
| 2,4-ジクロロフェノール(2,4-Dichlorophenol) |
| ベンゾフェノン(Benzophenone) |
| 4-ニトロトルエン(4-Nitrotoluene) |
| オクタクロロスチレン(Octachlorostyrene) |
| スチレンの2量体及び3量体(Styrene dimers and trimers) |
| n-ブチルベンゼン(n-Butyl benzene) |
(プラスチック原料・添加剤)
| アルキルフェノール(Alkyl
phenol) …4-オクチルフェノール(4-Octyl phenol) …ノニルフェノール(Nonylphenol) |
| ビスフェノールA(Bisphenol A) |
| フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(Di-2-ethylhexyl phthalate、DEHP) |
| フタル酸ブチルベンジル(Butyl benzyl phthalate、BBP) |
| フタル酸ジ-n-ブチル(Di-n-butyl phthalate、DBP) |
| フタル酸ジシクロヘキシル(Dicyclohexyl phthalate、DCHP) |
| フタル酸ジエチル(Diethyl phthalate、DEP) |
| アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル(Di (2-ethylhexyl) adipate) |
| フタル酸ジペンチル(Di-n-pentyl phthalate、DPP) |
| フタル酸ジヘキシル(Dihexyl phthalate、DHP) |
| フタル酸ジプロピル(Dipropyl phthalate、DprP) |
(農薬、殺虫剤)
| ヘキサクロロベンゼン(Hexachlorobenzene、HCB) |
| ペンタクロロフェノール(Pentachlorophenol、PCP) |
| 2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸(2,4,5-Trichlorophenoxyacetic acid、2,4,5-T) |
| 2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-Dichlorophenoxyacetic acid、2,4-D) |
| アミトロール(Amitrole、3-Amino-1,2,4-triazole) |
| アトラジン(Atrazine) |
| アラクロール(Alachlor) |
| シマジン(Simazine、CAT) |
| ヘキサクロロシクロヘキサン(Hexachlorocyclohexane、HCH、BHC) |
| エチルパラチオン(Ethyl parathion、パラチオン、Parathion) |
| カルバリル(Carbaryl、NAC) |
| クロルデン、オキシクロルデン及びtrans-ノナクロル(Chlordane、Oxychlordane and trans-Nonachlor) |
| 1,2-ジブロモ-3-クロロプロパン(1,2-Dibromo-3-chloropropane、DBCP) |
| DDT及びその代謝物(DDT、DDE and DDD) |
| ケルセン(Kelthane、Dicofol) |
| アルドリン(Aldrin) |
| エンドリン(Endrin) |
| ディルドリン(Dieldrin) |
| エンドスルファン(Endosulfan、Benzoepin) |
| ヘプタクロル及びヘプタクロルエポキサイド(Heptachlor and Heptachlor epoxide) |
| マラチオン(Malathion) |
| メソミル(Methomyl) |
| メトキシクロル(Methoxychlor) |
| マイレックス(Mirex) |
| ニトロフェン(Nitrofen、NIP) |
| トキサフェン(Toxaphene、カンフェクロル、Camphechlore) |
| トリフルラリン(Trifluralin) |
| アルディカーブ(Aldicarb) |
| ベノミル(Benomyl) |
| キーポン(Kepone) |
| マンゼブ(Mancozeb)(マンコゼブ) |
| マンネブ(Maneb) |
| メチラム(Metiram) |
| メトリブジン(Metribuzin) |
| 合成ピレスロイド(Synthetic
pyrethroids) (1)シペルメトリン(Cypermethrin) (2)エスファンバレレート(Esfenvalerate) (3)フェンバレレート(Fenvalerate) (4)ペルメトリン(Permethrin) |
| ビンクロゾリン(Vinclozolin) |
| ジネブ(Zineb) |
| ジラム(Ziram) |
| 有機スズ(Organotin compounds) |
(重金属)
| カドミウム(Cd) |
| 鉛(Pb) |
| 水銀(Hg) |
環境ホルモンの問題については、1962年米国で出版されたレイチェル・カーソンさんの「沈黙の春」の中で、農薬の影響の一つとして内分泌系のバランスを狂わす可能性について記述されています。
また、WHO(世界保健機構)/IPCS(国際化学物質安全計画)は、1972年に「ホルモン作用性化学物質(Hormone active chemical)」についてのとりまとめを行い、化学物質による内分泌系への影響を指摘しています。その後、この問題が注目を集めたのは、1991年7月、米国において内分泌撹乱化学物質問題に関する専門家会議が開催され、「内分泌を撹乱する化学物質があり、それらは環境中に存在し野性生物やヒトに影響を与える可能性がある。この問題は今後環境上の大きな課題となる可能性があるゆえ、調査研究が必要である。」との声明が出された時でした。
そして、1995年以降各種会合が開催され、知見の交換と国際的提携が進められるとともに、対応策が検討されています。
| 1995年1月 | 英国医学研究審議会及び環境保健研修所がワークショップを開催し、環境エストロゲン(女性ホルモン)の人の健康と野生動物への影響に対する評価を行った。 |
| 1995年3月 | 米国にて化学物質による魚類の発達と生殖に関するワークショップが開催され、1996年に報告書が出された。 |
| 1995年4月 | 米国環境保護庁(EPA)が、内分泌撹乱化学物質問題について研究の不十分な領域を明らかにし、将来の研究活動の優先順位を決めるためのワークショップを開催した。 |
| 1996年8月 | 米国において食品品質保護法、飲料水安全法の改正が行われ、環境保護庁(EPA)が、エストロゲンまたはその他の内分泌撹乱作用のある化学物質のスクリーニングプログラムを開発し、3年以内に実施するとの決定を行った。 |
| 1996年11月 | OECD(経済協力開発機構)が、内分泌撹乱化学物質についてスクリーニング手法を含んだテストガイドラインの開発に着手するとの決定を行った。 |
| 1996年12月 | 欧州委員会とWHO(世界保健機構)は、内分泌撹乱化学物質の健康と環境に関する欧州ワークショップを開催した。 |
| 1997年1月 | 米国大統領府は、環境保護庁(EPA)・UNEP(国連環境開発計画)等と共同で、諸外国から専門家を招きワークショップを開催した。 |
| 1997年2月 | IFCS(化学物質に関する国際政府間フォーラム)において、内分泌撹乱化学物質問題が検討され、調査研究と情報交換を進めるためIOMC(化学物質健全管理のための組織間プログラム)を通じて関係機関に働きかけていくことが決定された。 |
| 1997年5月 | 米国の主催にて8カ国環境大臣会議が開催され、内分泌撹乱化学物質問題についても国際機関を通じた研究協力の推進等が合意された。 |
| 1997年11月 | 横浜において、我が国で初めての環境ホルモンに関する国際シンポジウム「第13回国際比較内分泌会議」が開催された。 |
| 1997年12月 | OECDナショナル・コーディネーター会議において試験方法等が検討され、専門のワーキンググループを設立し、議論していくことが決定された。 |
| 1998年3月 | OECD/IPCS(国際化学物質安全計画)合同会議において、2年間を目途に関連調査研究報告の収集及び評価を行うことが決定された。 |
| 1998年3月 | OECD/内分泌かく乱物質ワーキンググループにおいて、試験方法等についての検討が開始された。 |
| 1998年1月〜4月 | 英国環境局が内分泌撹乱物質に関する報告書を発表し、団体・個人からの意見を公募した。 |
| 1998年10月 | 米国環境保護庁(EPA)が、15,000の化学物質を対象にスクリーニングプログラムを実施することを発表した。 |
| 1999年2月 | OECD/内分泌かく乱化学物質専門家会議が東京にて開催され、内分泌かく乱化学物質の検出法として3つの試験方法を整備することが合意された。 |
我が国において環境ホルモンの問題が認識されはじめたのは最近のことです。
1996年、通産省は、(社)日本化学工業協会を通じて(社)日本化学物質安全・情報センターに実態調査を委託し、1997年6月に「内分泌(エンドクリン)系に作用する化学物質に関する調査研究」報告書がとりまとめられました。また、環境庁でも、1997年3月「外因性内分泌かく乱化学物質問題に関する研究班」を設置し、7月に中間報告書がとりまとめられました。そして、環境庁は、1998年5月、今後の取り組みに対する基本的な考え方および対応方針をまとめた「外因性内分泌撹乱化学物質問題への環境庁の対応方針について−環境ホルモン戦略計画 SPEED’98−」を発表し、全国的な調査に着手しています。また、1998年11月には、厚生省の「内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会」より、1999年4月には、農林水産省の「内分泌かく乱物質の農林水産物への影響問題検討会」より中間報告書が発表されました。
建設省や科学技術庁においても、この問題が大きな課題となる可能性を認め、調査研究に着手しています。
民間においては、1998年6月、日本内分泌撹乱化学物質学会(通称:環境ホルモン学会)が発足しており、情報交換や研究成果の発表の場としての活動が始まっています。
<今後の課題>
従来の化学物質による生物への影響は、中毒作用や発病といった比較的分かりやすいものでした。しかしながら、環境ホルモンによる影響は複雑で、外見上異常が見られない例が多いことから今まで見逃されていた可能性があります。
今後、実験動物等による研究や野生動物あるいは人で観察された調査データの分析を進めるとともに、これらの研究調査の成果を積み重ね、更に対象を絞り込んでいく必要があります。
また、今後の調査研究については、国際的な提携を図るとともに、国内でも国際機関の協力のもとに効果的に調査研究を進めていくことが望まれます。
(参考資料)
| 書名/資料名 | 著編者 | 出版社 | 発行年月 |
| 奪われし未来 | シーア・コルボーン、 ダイアン・ダマノスキ、 ジョン・ピーターソン・マイヤーズ共著 |
翔泳社 | 1997年9月 |
| メス化する自然〜環境ホルモン汚染の恐怖 | デボラ・キャドバリー著 | 集英社 | 1998年2月 |
| 内分泌(エンドクリン)系に作用する化学物質に関する調査研究 | (社)日本化学工業協会 (社)日本化学物質安全・情報センター |
1997年6月 | |
| 環境ホルモン (外因性内分泌撹乱化学物質問題に関する研究班中間報告書) |
環境庁リスク対策検討会監修 | 環境新聞社 | 1997年11月 |
図解「環境ホルモン」を正しく知る本(吉田昌史著、中経出版、1998年8月発行)に、私のホームページが紹介されています。
(関連サイト)