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根管治療


歯は饅頭と同じです。 皮が有って、アンコが入っているんです。

アンコの事を歯髄と言います。通常触ると飛びあがる程に痛いので”神経”と言います。しかし、神経組織のみでは無くて、細胞も血管もあるれっきとした体の一部の組織です。

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この歯髄は非常に大切なもので、できるならば健全な状態に保ちたいものです。ところが、虫歯を作ってしまい、夜も寝られないような状態になりますと、細菌感染により、壊死つまり、腐ってしまいます。現在では、痛みが無ければ、ある程度酷い虫歯でも出来る限り歯髄は保存、つまり神経はとらないようにしています。実際には、3ミックスを使用したり水酸化カルシウム製剤を使用して、虫歯である部分を硬化させる方法をとります。

ここでは、激痛やそれを通り越して、既に歯髄が壊死してしまった(神経が死んでしまった)歯の治療について解説します。

簡単に言うと、根の中の壊死物質を除去して、根の先の穴にピッタリとフタをして根の中に人工物を詰めこみ歯を残す治療です。

  1. 先ずは、虫歯になってしまった部分を削って、腐ってしまった歯髄組織を露出させます。 薬剤を使って消毒等をしながら、腐ってしまった歯髄組織を除去します。 その次に、根っこの先を探します。これが大変な場合があります。歯は工業製品では無いので、根の先の孔が細くなっていたり、根の先で根が曲がっている場合も多く、奥歯の場合は簡単に見つからない事が大多数です。それを苦労しながら見つけます。歯の根の数は、前歯では1つ。奥歯は3〜4本ですので、奥歯は前歯の3から4倍以上の手間がかかります。
  2. 根の先が見つかったら、歯髄を除去した空洞を器具(ファイルとかリーマーと言います)を使って拡大します。
  3. 歯髄の中に腐らないゴムの様なガッターパーチャと言う物質で緊密に充填します(根管充填) その際に重要なのは、根の先(根先孔)を塞ぐ事が最重要です。
  4. 被せたりして歯を保存します。

    重要なのは、根っこの先までしっかり詰めると言う事で、ちょろっと入り口あたりを詰めておくなら簡単ですが、、、。

<根先探し>

まず第一に難しいのは、根の先(根先孔)を探す事です。マイクロスコープを使っても見えるのは入口だけですので、、あとは手探りです。奥歯の場合、ただでさえ、手が入りにくく覗きこまなければならない部分の大よそ5ミリ四方の中に2〜4本の根っこの入口が有り、そこの一本一本の入口に器具を差し込まなければなりません。更に器具を進めて根の先を探す必要があります。しかも根は曲がっています。その中で器具を反回転させるので、古い器具ですと折れる心配もあります。通常の歯に何かを詰める治療に比べれば格段に難しいです。

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<根管形成について>

目標は、根っこの先の先からきっちりガッターバーチャを詰めこむ事です。ところが、!歯髄が入っていた空洞の歯髄腔は、細かったり 蛇行している事が多いからです。それをきっちり広げて詰めやすくする事を根管形成と言います。(下の図は模式図です。こんなに寸胴 には実際にはしません。)

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以前は、手作業が主体でしたが、現在では超音波による切削と回転系の切削器具(ニッケルチタンファイル)を使う事が多くなりました。その方が綺麗な根管形成ができるからです。

<根管充填について>

きっちり拡大した歯髄があった場所(歯髄腔)に人工物を詰めこむことを言います。
詰める材料は、後で固まる流動性の有るゲル状のものを詰めこむ方法と、固形物を詰めこむ場合があります。主流は、固形物で、なかでもガッターパーチャと言う物質が一般的です。これは粘りの有る物体で、熱や、ユーカリ油で軟化します。ここでは、これを用いた根管充填について説明します。

(側方加圧根充法) ラテラルコンデンセーション

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1本の太いガッターバーチャで出来た細長い物(メインポイント)を詰めこんで、それを器具で横によせて、その隙間に細いガッターパーチャのポイント(アクセサリーポイント)を押しこんで行く方法。比較的簡単ですが、加圧とは言ってもそんなに圧力はかかりにくいい為に根っこの先に緊密には充填されない場合が多いです。それを補う為に、セメント様な物をつけて詰めます。最大の欠点は、根っこの先に有る側枝には充填材は入りにくいです。(セメントは入ります)。利点は、垂直加根充法よりは、歯を削る量は少ない事です。つまり歯の強度を落としにくい事です。根の先が不規則な形や、最初から根の中が太い根管には向きません。

(垂直加圧根充)
 

バーティカルコンデンセーション (オピアン法)

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この方法は、熱と薬剤で軟化したガッターバーチャポイントを分割して、少しずつ挿入して加圧して詰め足して行く方法です。この方法は、何と言っても根管形成をばっちりと行なっておかないとなりません。そして根管の形態も、綺麗な曲線を描いた、スムーズな形態にする必要があります。ただ、根の中の壁の切削量は多くなり気味なので、湾曲した大臼歯には向きません。
又、長い犬歯にも向きません。どちらかと言う根先の開いた前歯部や、どうしても治りにくい再根管治療に適用します。

(参考マイクロエンド)                                

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左写真は当院例。右写真の赤矢印は当院の治療。根っこの先まで充填できている。青矢印は他医院での治療。点線の部分が足りない(保険診療の場合、これでも上出来で批判する気持ちは毛頭有りません。 )

バーティカルコンデンセーション (Continuous wave technique )

ラテラルと、バーティカルの融合です。根管形成は、規格化されたファイルを用い根管形成をします。根管大きさにもよりますが、最終形成は、06テーパーで#30と言う大きさにします。そのファイルと同じ形態をした06テーパー#30の専用ガッターパーチャをシーラー(セメント)と共に充填し加圧し、さらにヒートプラガーと言う瞬間的に200度になる器具を用い、ガッタパーチャを暖め、連続的なウェーブを起こして根管内を緊密に充填する方法です。米国の根管治療の専門医ではこの方法が主流です。但し、根管がもともと太い場合や、根尖孔が大きい場合は不向きな場合があります。当院でも、保険外の根管治療(スーパー根管治療)ではこの方法を使う場合もあります。

<日本の根管治療の抱える問題点>

先進国で、インプラント1本よりも、根管治療が安い国は日本だけと言われています。 

米国では大臼歯の根管治療は12万円〜20万円程度と言われていますが、何と日本では約9千円程度です。日本人は器用ですが、いくらなんでもこれじゃ厳しいのです。そこで起こってくるのが、根管治療にまつわるトラブルです。詳しくは述べませんが沢山あります。

当院では、通常の保険診療の根管治療も行っておりますが、より精度を求めた根管治療(スーパー根管治療を行っております)。スーパー根管治療はCTによる立体的な画像診断を行った後に、マイクロスコープを用いて治療します。スーパー根管治療の詳細はこちら

<補遺> 根っこの先は拡大鏡で見ますと小さい穴があいており、そこから神経や血管が歯の中にはいっております。逆に、歯の中の歯髄が細菌感染を起こして壊死してしまいますと、細菌が根っこの先(根尖といいます)から細菌が周囲に出て行って、歯の周囲に炎症を起こします。神経をとったはずの歯が噛むと痛いものの多くはこの原因です。そうしない為に行なうのが根管充填です。ただ、ここで難しいのは、いくらきっちり垂直加圧根充をしても数パーセント位は何年かして、症状が出てくる場合が有ります。何故でしょうか。それは、きっちり詰めても顕微鏡的なレベルだとどうなのかと言う問題と、人工物で根っこの先を詰めた歯を生態が受け入れてくれるかの問題が有るのです。それはある程度、個人的な感受性も関係あるのではないでしょうか。 又、最近では、根の先に細菌がバイオフィルムと言う、バリアーを形成してしまい消毒剤や抗生物質に対して抵抗性を持つことが分かってきています。この場合は、外科的にソウハ等をしないと治癒しません。(外科的根管治療)

又、どうしても治りにくい根管治療の場合、結果的に根が折れていたのが原因の場合も有ります。この歯根破折はとても多いです。それは、昭和の終わりの頃は、根の治療をした後に金属の土台を盛んに使った時期があります。その金属の土台が楔(クサビ)の様な作用をして歯の根が折れてしまっています。この場合は、抜歯が避けられない場合が多いです。

cyst.JPG 根っこの先にのう胞を生じた歯。きっちりとした根管充填をしていない歯に良く見られる病変です。

一番良いのは、生きた歯髄が有る事です。つまり痛みを経験した事の無い歯です。定期検診を受けてそうなる前に治療を受ける習慣をつけましょう。

根管治療の成功率 (某大学の資料による)

抜髄処置(感染した歯髄を除去して充填)==95%以上

感染根管処置(歯髄が壊死してしまって放置しておいた場合の歯)==85%程度

再度の根管治療==70%前後

※レントゲンを撮ってみますと、かなりの方の歯に根先病巣は存在します。でも、痛み等の症状が無ければ、あまりいじらない方が良い場合が多いです。なぜならば、上記が示す様にいじりますと、3割程度は抜歯の危険があるからです。ただ、この様な場合は定期的に根先病巣の様子は観察しておく必要はあります。

                 記入2001/4/21

追記 2011年より難治性の根先性歯周炎(治りにくい、根の治療)について歯科用CTでの立体的な診断が健康保険で可能になりました。これは、治療を受ける患者さん、治療を行う歯科医師にとって大朗報です。費用は3割のご負担で3500円程度です。(但し、どの様な根の治療でも保険適応になるわけではございません。)




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