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8:30。佐世保サンライズマリーナに参加者が集合、直ちに出港準備が始
まった。といってもビールと弁当を積み込むだけである。
9:00、出港。ローレライ号(池田豊船長、中島祥一氏、八谷繁一氏、久
米重治氏)を先頭に、2番手はKDS号〈長島正船長、中島閏二氏、某支店長氏、
津田佐世保漁具店氏、僕)、後続はDAlSlHN号(大神船長、田中歯科院長、
友広玄氏)である。
三艇は九十九島を抜けて進路を西にとる。大崎港に立ち寄ってエサの活きエビを
仕入れた後、エンジン全開で再び西進した。ところが、途中でローレライ号が減速、
進路を黒島港に向けた。ハテナ?「こちらKDS号、どうしました?」
「こちらローレライ号、味噌汁の味噌を忘れたので買いに行く」「あっ、そう!」
すべてにおいて準備万端のKDS号はクルーが鳩首会談。「忘れ物をするよ
うな船はおいて行こうぜ」「そうしよう、そうしよう、先に行って釣ってしま
おう」との結論に達した。
10:30、釣り開始。本日、初参加の支店長氏が「僕って釣りは初めてだか
らヨロシクね」と擦り寄って来た。初物を好む僕が教育係を買って出たのはい
うまでもない。「アンタはな〜んも心配せんでええんや、すべてこのおじさん
に任せておけぱそれでええんや」っと、なぜかしら関西弁になりました。
そして、手に手をとってエサの付け方を教え「釣り方はね、テンヤオモリが
底に達したら、ツンツンと2〜3回、軽くこずいて様子をみるんや」「それで
どうなります?」「どうなる、って言われても」っと、言ってる間に支店長氏が
「なんかゴツゴツしてまんがナ」「じゃあ、仕掛けを上げてみなはれ」と言ってた
ら、やがて40aくらいの真鯛が姿を見せた。
しかし、支店長氏の独走は続く。また釣った。「あれっ?この魚、ヒゲがあるじえ」
「それは海鯉です」「ヘえ一、海にも鯉がいるの?」「いますよ、
ところで支店長、冬になると魚は防寒対策でパンツを履きます]「ホント?」
「ホントです、しかし海鯉は履きません」「とうして?」「鯉〈恋)ははかな
い」「・・・」っと、言ってる僕にズンという重々しくも鈍いアタリ。得てし
て、こういうアタリはデカバンが多い。「来た〜、デカイ!うわあ〜、アイタ、
指が切れそう、よいしょ、こらしょ」。ところが相手は重いだけで生体反応が
ない。要するに魚が暴れない。船長と漁労長は早くも事態を察してニヤニヤ。
だけど支店長氏は「うわ〜、凄いですね〜」と僕の顔を覗き込んだ。「鯛なら
1bオ一バー、もしかしたらイルカ」「えっ、イルカ?」「イルカは何処にイ
ルカ」っと言ってたら、ガバ〜っと漁網の塊が姿を現した。「誰か、この網イ
ルカ?」「いらない」「誰だ〜、こんなモノを海に捨てるのは?」「佐世保漁
具店で売った網じゃあないか?」、すると津田社長は「洗って千せぱまた売れ
る」と商売っ気を出した。
言ってる間にまたまた僕。グ〜っと来て、ゴツン、ゴツン。今度は生
体反応付きである。だけど、もし間違ったら恥ずかしいので黙って糸を手繰っ
た。ところが僕は生まれつきボーカーフェイスが苦手。満ちあふれるような喜
ぴを必死にこらえていると、船長から「顔が土砂崩れみたいになってるゾ」と
言われてバレてしまった。
やがて海中に淡い桜色がきらめいた。目元にはクッキリとアイジャドウ、背
ビレ、胸ビレはネグリジェのように透き通り、体側には蛍光色の宝石がちりぱ
められていた。実に美しい魚である。鯛の前に魚はいない。鯛は海の女王。海
の富士山である。無事ゲット。海の女王は68a、3.8`だった。
16:00。こうして1日目の釣りは終了、三艇は五島、有川港に錨を降ろし
た。
なお他船の結果は、リーダー艇は鯛の数こそ多いが型は小から中。中でも八谷氏
の石鯛が華を添えた。一方、DAlSHlN号は友広氏が70a級を仕留
めたが、田中歯科院長は「数はオレの方が多い」と、自慢にならない理由を
語った。
今宵の宿は浦旅館。釣った鯛、キンプク、石鯛、ハタなどを持ち込んで、これ
から宴会である。
そして、長い沈黙をやぷってキーンという糸鳴りを響かせたのは中島漁労長。
彼は、それまで釣果に恵まれず「チッ、またオーガンぱい」を繰り返していた
が、今回は獲物の抵抗の仕方から、それが本命であることを察知したらしく、
慎重かつ大胆に糸を手繰っていた。すでに他のクルーは彼の邪魔にならぬよう、
仕掛けを回収、彼の人舞台を見守った。
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