三昧


記 事 : 米山 保

鯛

この日最初の鯛を釣上げる
小野口さん
平成14年10月13日、日曜日。
 本日は第2回豊漁会(池田豊会長)の五島有川遠征の鯛釣り大会だ。 天気は晴れ。北東の風弱く、波高1.5メートル。絶好の釣り日和である。 本日の潮回りは佐世保港の干潮が7:06、満潮が15:01。小潮のため、 潮の動きは鈍いが、そこは腕でカパーするとしよう。
前回の豊漁会は4月13〜14日に行われ、21名が参加。シーズンたけな わの桜鯛が数多く仕留められた。ところが、今回はヨットレースなど、海の行 事が重なったため、参加者は12名とやや寂しい大会となった。

 8:30。佐世保サンライズマリーナに参加者が集合、直ちに出港準備が始 まった。といってもビールと弁当を積み込むだけである。 9:00、出港。ローレライ号(池田豊船長、中島祥一氏、八谷繁一氏、久 米重治氏)を先頭に、2番手はKDS号〈長島正船長、中島閏二氏、某支店長氏、 津田佐世保漁具店氏、僕)、後続はDAlSlHN号(大神船長、田中歯科院長、 友広玄氏)である。

 三艇は九十九島を抜けて進路を西にとる。大崎港に立ち寄ってエサの活きエビを 仕入れた後、エンジン全開で再び西進した。ところが、途中でローレライ号が減速、 進路を黒島港に向けた。ハテナ?「こちらKDS号、どうしました?」 「こちらローレライ号、味噌汁の味噌を忘れたので買いに行く」「あっ、そう!」 すべてにおいて準備万端のKDS号はクルーが鳩首会談。「忘れ物をするよ うな船はおいて行こうぜ」「そうしよう、そうしよう、先に行って釣ってしま おう」との結論に達した。

米山君

鯛ではない魚網の大物を
釣上げた筆者
 10:15。KDS号は平島の南海域に到着。早速、中島漁労長の指示でシ ーカンカーが降ろされた。っといっても、船長、漁労長以外のクルーは役立た ず。作業の邪魔にならぬよう、隅っこに引っ込んでいるだけである。 この海域は今年1月13日、長島船長が初釣りで78センチ、5.2キロの 大真鯛を釣ったポイント。そこで、今日は‘柳の下の二匹目の大鯛’を狙おう という按配だ。

 10:30、釣り開始。本日、初参加の支店長氏が「僕って釣りは初めてだか らヨロシクね」と擦り寄って来た。初物を好む僕が教育係を買って出たのはい うまでもない。「アンタはな〜んも心配せんでええんや、すべてこのおじさん に任せておけぱそれでええんや」っと、なぜかしら関西弁になりました。 そして、手に手をとってエサの付け方を教え「釣り方はね、テンヤオモリが 底に達したら、ツンツンと2〜3回、軽くこずいて様子をみるんや」「それで どうなります?」「どうなる、って言われても」っと、言ってる間に支店長氏が 「なんかゴツゴツしてまんがナ」「じゃあ、仕掛けを上げてみなはれ」と言ってた ら、やがて40aくらいの真鯛が姿を見せた。

米山君

それなりのサイズに
満足の筆者
 本命の1号である。そして、ナント、 2匹目も彼だった。初めてにして2回、あっ、イヤ、2匹は「ちょいと、 やり過ぎじゃない?」と船長。漁労長は「ホントに初めて?かなり慣れてるみ たいヨ」と疑いの眼差しを向けた。「イエ、イエ、ホントに初めて、ビギナー ズラックです。」と支店長氏は答えたが、あの手つきと糸さぱきはとても昨日、 今日のものとは思われず。

 しかし、支店長氏の独走は続く。また釣った。「あれっ?この魚、ヒゲがあるじえ」 「それは海鯉です」「ヘえ一、海にも鯉がいるの?」「いますよ、 ところで支店長、冬になると魚は防寒対策でパンツを履きます]「ホント?」 「ホントです、しかし海鯉は履きません」「とうして?」「鯉〈恋)ははかな い」「・・・」っと、言ってる僕にズンという重々しくも鈍いアタリ。得てし て、こういうアタリはデカバンが多い。「来た〜、デカイ!うわあ〜、アイタ、 指が切れそう、よいしょ、こらしょ」。ところが相手は重いだけで生体反応が ない。要するに魚が暴れない。船長と漁労長は早くも事態を察してニヤニヤ。

 だけど支店長氏は「うわ〜、凄いですね〜」と僕の顔を覗き込んだ。「鯛なら 1bオ一バー、もしかしたらイルカ」「えっ、イルカ?」「イルカは何処にイ ルカ」っと言ってたら、ガバ〜っと漁網の塊が姿を現した。「誰か、この網イ ルカ?」「いらない」「誰だ〜、こんなモノを海に捨てるのは?」「佐世保漁 具店で売った網じゃあないか?」、すると津田社長は「洗って千せぱまた売れ る」と商売っ気を出した。

船長

何じゃ、こりゃあ?
鯛とオウガンがリャンコで
◆参考その1、津田社長は釣り道楽で、特に石鯛釣りを好み、自ら津田魚心 (ぎょしん)と名乗る。が、その割りには魚の心を読むことが苦手なようで、 36回連続ポーズという大記録を樹立、九州釣り界に燦然と輝く金字塔を打ち 立てた。

 言ってる間にまたまた僕。グ〜っと来て、ゴツン、ゴツン。今度は生 体反応付きである。だけど、もし間違ったら恥ずかしいので黙って糸を手繰っ た。ところが僕は生まれつきボーカーフェイスが苦手。満ちあふれるような喜 ぴを必死にこらえていると、船長から「顔が土砂崩れみたいになってるゾ」と 言われてバレてしまった。

 やがて海中に淡い桜色がきらめいた。目元にはクッキリとアイジャドウ、背 ビレ、胸ビレはネグリジェのように透き通り、体側には蛍光色の宝石がちりぱ められていた。実に美しい魚である。鯛の前に魚はいない。鯛は海の女王。海 の富士山である。無事ゲット。海の女王は68a、3.8`だった。 16:00。こうして1日目の釣りは終了、三艇は五島、有川港に錨を降ろし た。

 なお他船の結果は、リーダー艇は鯛の数こそ多いが型は小から中。中でも八谷氏 の石鯛が華を添えた。一方、DAlSHlN号は友広氏が70a級を仕留 めたが、田中歯科院長は「数はオレの方が多い」と、自慢にならない理由を 語った。 今宵の宿は浦旅館。釣った鯛、キンプク、石鯛、ハタなどを持ち込んで、これ から宴会である。

中島 君

今回一番の大物を手に
満足げの中島 君
◆なお、宴会の模様は僕のペンではカ不足。どうか写真でご想像下さい。 翌、10月14日、体育の日、朝6:00、起床。食堂に集合した一行はも のすごい食欲だった。  7:00出港。15分で平島の南に到着、さっそく仕掛けを投入すると、長 島船長が早くもヒット。上げてみるとテンヤの2本バリに鯛とオーガン(ナベ ダイ)が食いついていた。「何じゃ、こりゃあ?」。長いこと釣りをしてきた が、こういうことは滅多にお目にかかれない。こういうケースを実現する釣り 師は上手か、それともそうでないか。いずれにしても、とても珍しいケースだっ た。

 そして、長い沈黙をやぷってキーンという糸鳴りを響かせたのは中島漁労長。 彼は、それまで釣果に恵まれず「チッ、またオーガンぱい」を繰り返していた が、今回は獲物の抵抗の仕方から、それが本命であることを察知したらしく、 慎重かつ大胆に糸を手繰っていた。すでに他のクルーは彼の邪魔にならぬよう、 仕掛けを回収、彼の人舞台を見守った。
「デカ〜イ」、辺りの静寂を破って船長の声が響き渡った。サッと船長か夕 モで掬った。真っ青な秋晴れの空を背景に、艶やかなピンク色が冴えた。 文句ナシ。71a、4.3`。今回の豊漁会のチャンピョンフラッグに輝く見事な 盛秋の大真鯛だったった。


■■■■ 懇 親 会 ■■■■

宴会

各艇全員そろっての
豊漁 懇親会
宴会

初日の釣果に満足の
小野口さん(右)そうでなかった船長(左)

2002. 10.13〜14「釣行ポイント・五島 平島」