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☆ 鎌倉時代の陰陽道(5) ☆
北条義時の陰謀と呪術


決して表に出てこない話ですが、日本固有の占術・呪術が日本史を動かしてきた事実はあるようです。 しかし、現代の我々が非合理的と考える占術・呪術も昔の人々にとっては、最先端の科学でありました。
平将門の乱(935〜940)のときには将門呪詛が、元寇(1274〜1281)のときには異国降伏の祈りが行われているように、中世までの支配層は何事も呪術で解決できると考えていました。

鎌倉時代の陰陽道」では、陰陽道が鎌倉期の権力者にどのような影響を与え、その結果歴史がどう動いたかを多少まとめてみたいと思います。




平安時代初期、政権をめぐる争いの上で陰陽師は藤原氏などに積極的にもちいられ繁栄しましたが、藤原氏の衰退とともに、庇護者を失った陰陽道宗家はしだいに衰退していきました。
それでも源平合戦の頃までは、「陰陽道宗家の占術は頼りになる」という評価が一般的でした。

「北条義時の陰謀と呪術」

源実朝の暗殺は、三浦氏の策謀であったといいます。
三浦氏は、前九年の役、後三年の役以来、源氏配下の有力武士として発展し、源頼朝の旗揚げのときから、つねに幕府の中心的存在として活躍してきました。
北条氏は新興豪族にすぎない。北条政子が源頼朝の妻になり、源氏の身内になったために力をつけていったのだ!という思いが三浦一族にはありました。

幕府成立期の内紛で、上総氏、畠山氏、梶原氏比企氏といった豪族が次々に没落していき、そういった状況のなかで三浦氏は、幕府内で北条氏に次ぐ地位を占めるようになりました。
三浦半島には、幕府でさえ手がつけられない親三浦勢力が根づいており、三浦氏の当主の三浦義村和田義盛の従兄にあたります。三浦氏は長年にわたって鎌倉に近い三浦半島の小豪族を組織して地についた勢力をのばしてきたため、彼らは同族の和田義盛が北条氏とあらそって殺されるという大きな痛手をうけても、すぐ勢力を回復しました。
三浦義村は、長い伝統をもと三浦氏が北条氏の風下に立つことに我慢がならなく、三代将軍実朝を殺害して、そのあとに公暁をたてようと企てました。そこで公暁に命じ、八幡宮で実朝と北条義時を暗殺しようとしたわけです。
ところが義時はその陰謀を察知、病気と称して右大臣拝賀の式場を抜け出してしまいます。
義時を殺しそこなったことは大きな誤算でした。
三浦義村は公暁を殺しすべてを闇に葬ったわけです。

喜んだのは義時で、自らの手を汚さずに源実朝を除くことができたわけです。実朝の実母は北条義時の姉・政子であり、義時が実朝に手をかければ姉の子殺しとなり、人望を失い幕府をまとめられなくなる。
そのため彼は、陰陽師に命じて実朝を呪詛することで目的を達せようとしていました。
結果的に義時の呪詛は成功したことになりました。
 
陰陽道(おんみょうどう)

陰陽道は中国古代の科学思想をもとにうまれました。
紀元前1000年頃、未来予知学を集成した「易経(えききょう)」がつくられました。これは儒家の孔子、孟子や道家の老子、荘子が活躍していた時代より新しい時代の学問で、「易経」の中には宇宙万物の動きを説明する陰陽五行説がもりこまれていました。
平安時代の占術師達は、この陰陽五行説をもとに日本独自の占術「陰陽道」を完成させていきました。
では、陰陽五行説とは何か?
この解説はかなり難解ものなので、「すべての事象は五個の精霊のはたらきでおきる」と考えられていた程度で許してもらいたい。
日本で支持をえている占いの大半は陰陽五行説にもとづいています。
近年もてはやされている「風水」も、正月になると話題になる「十二支占い」も陰陽五行説を原点として展開されています。
もともと陰陽五行説は科学思想であって、占いではありませんでしたが、わが国の奈良・平安時代に日本固有のさまざまな民間信仰や、宿曜道(インドの星占)とよばれる密教系の占術とが結びついて陰陽道のかたちが整っていったようです。 このように日本においては平安時代の占いブーム現象とあわせ、陰陽五行説が占術・呪術のものとして独自の展開をしていったと考えられています。



では、また来月お会いしましょうね。




[参考文献]

書 名
叢書名
著者・編集
出版社
「鎌倉謎とき散歩」 湯本和夫著廣済堂出版
「鎌倉 8」  山と渓谷社
「鎌倉・横浜」 あるっく社編集部山と渓谷社
「鎌倉・歴史の散歩道」:中世の香りを残す古都を歩く講談社カルチャーブックス安西篤子監修講談社
「鎌倉歴史散策」カラーブックス361 保育社
「秘宝のある寺<鎌倉>」カラーブックス785 保育社
「鎌倉の寺」カラーブックス821 保育社
「かながわの古道50選 : てくてくマップ」  神奈川県
「(大きな字の本)鎌倉のあるきかた」 山口千恵美他執筆ゼンリン
「鎌倉散歩24コース」  山川出版社
「ひとり歩きの鎌倉」 新沼美津江著JTB
「鎌倉の古寺」:四季の花と仏像を訪ねてCan Books JTB
「鎌倉を歩こう」るるぶ98 JTB
「鎌倉を歩こう」るるぶ99 JTB
「小さな旅」各号 JR東日本
「あなたの街の新聞:鎌倉生活」各号 遊蟻舎
「鶴岡:つるおか」各号 鶴岡八幡宮
「呪術が動かした日本史」 武光 誠著青春出版社
歴史の意外な「ウラ事情 : あの事件あの人物の"驚きの事実"PHP文庫日本博学倶楽部PHP研究所
「通勤電車で楽しむ日本史の本」 小和田哲男著三笠書房
古都の風情がいまに残る : 鎌倉の小径、うら路、かくれ道」  実業之日本社
「女人鎌倉:歴史を再発見する15の物語」 安西篤子著祥伝社
「三浦半島記」街道をゆく42司馬遼太郎著朝日新聞社
「学校では教えない歴史」 フリーランス歴史研究会コスモ出版
「鎌倉:四季の景」ブルーガイド情報版α002 実業之日本社
「鎌倉 湘南」マップル98:エリアマップ 昭文社
「新版 神奈川県の歴史散歩.下」新全国歴史散歩シリーズ14 山川出版社
「かながわの神社ガイドブック:こころの散歩道」 監修神奈川県神社庁かなしん出版
「エッセー 鎌倉百景」 佐藤 繁著門土社
「鎌倉を歩く'02」iアイジャパン18阿部由美子編集JTB
写真家が足で探した : 鎌倉の秘道.切通し・やぐら・花の寺」 中野正皓著日本写真企画
「古寺を歩く:全国の古寺の歴史と見どころ徹底ガイド日文新書渋谷申博/山中悟著日本文芸社
「鎌倉の寺小事典」  かまくら春秋社
「鎌倉の神社小事典」  かまくら春秋社
「田谷の洞窟:鎌倉の密教地底伽藍」現代名刹シリーズ1吉田 孝著宗教工芸社
「南紀白浜:名勝古跡:三段壁洞窟」  三段壁洞窟観光
各社寺拝観時の配布パンフレット   



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