「鎌倉恋便り」



一向上人開創のひそやかな寺 「 向 福 寺 」(第96回)



向福寺(こうふくじ)は材木座のバス通りから少し入った所に建つ、本堂と庫裡だけのひそやかなお寺です。
開山の一向上人は、時宗の開祖である一遍上人と同じく鎌倉時代に各地を遊行し、踊り念仏によって教えを広めました。

本尊は観音、勢至の両菩薩を脇侍とする木造阿弥陀三尊像で、南北朝時代の作品といわれています。造立当時の姿をとどめた、とりわけ中尊の深く刻みこまれた衣文の線の美しさはよく知られています。

鎌倉三十三所観音霊場第十五番札所

 




写   真       解    説      
向福寺本堂

江戸時代末、1826(文政9)年に再建された本堂と表門は、関東大震災で全壊してしまい、現在の本堂は昭和の初期に建てられたものです。
観光スポットから外れた感じのある寺のたたずまいは、祈りの場としての落ち着きを感じさせます。

また、『丹下左膳』などの作品で知られる作家・林不忘(はやしふぼう)は、1926(大正15)年、この寺の一室を借りて新婚生活を送りました。墓は妙本寺にあります。



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