唐八景-上小島の火山円礫岩層

くさり礫層と扇状地

 長崎市中心部の南側には標高100-300mのなだらかな丘が広がっています.この一帯は大昔,複輝石安山岩の円礫が堆積してできた地層で,礫の直径は数cmから3mに及びます.深層風化により橙褐色を帯びていることが多く,くさり礫層と呼ばれる独特の地層です.くさり礫層は長崎火山のほか,近くでは多良岳の南山麓(諫早市北部)や諫早市南部の有喜から森山町南部にかけて分布しています.

 これらはいずれも火山山麓の古い扇状地堆積物です.  




まんじゅう形の地形

 平坦地形を詳しく見ると,山頂が平らで周辺になるほど急傾斜になっています.つまり,傾斜の変化は連続的でまんじゅう形の地形であり,メサ地形(平坦面と急斜面の境目が明瞭)とは異なっています.



地質図

長崎火山岩類

 黄緑 唐八景礫岩層(火山円礫岩)
 黄色 凝灰角礫岩・火山角礫岩
 緑色 溶岩(複輝石安山岩)
 橙色 自破砕溶岩(複輝石安山岩)

長崎変成岩類

 灰色 結晶片岩

火山円礫岩層(大昔の扇状地)は直径3kmの広がり(調査が進めばもっと広がる見こみ)をもち,見かけの厚さは70mです.複輝石安山岩質の溶岩を覆っています.地層が堆積した当時,火山の本体がどこにあったか現時点では不明です.今後の研究課題です.

 地質図中の大浦はグラバー園や大浦天主堂など著名な観光地として知られます.



火山円礫岩層の露頭

 火山円礫岩層は,地層の記載の標準となった典型的な露頭(地層・岩石の露出)の所在地(模式地 type locality)の地名をとり,唐八景礫岩層と命名されました.その後,公園整備工事にともない,長年存在していた模式地露頭が消滅しました.最近は各種の工事によって露頭が次々に失われており,全国的規模で地質学の研究に重大な支障をきたしています.

火山円礫岩層に挟まれた水底堆積物

 火山円礫岩層は土石流の繰り返しで形成されたと考えられますが,ところどころラミナ(地層の縞模様)が発達した水底堆積物が挟まれています.局地的に窪地が生じ水が溜まっていたのでしょう.

唐八景のプロフィール

 長崎市中心部の3km南にある標高305mの山です.長崎名物「ハタ揚げ」の会場として知られます.NHKとNBC(長崎放送)の中波ラジオ送信塔があります.

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長崎火山の目次

 ここに展示した資料の原著論文は
布袋 厚(1991)長崎市南部唐八景付近に分布する火山円礫岩層,地学研究 40(2)85-94.
に掲載されています.


http://www.fsinet.or.jp/~hoteia 制作・著作 布袋 厚 1999年