稲佐山-小江の火山地質

 ここに展示した資料は1999年6月27日に開催された長崎県地学会総会で発表された
長崎市稲佐山-小江の火山地質
の内容を簡単にまとめたものです.また,原著論文
布袋 厚(2002)長崎市西部小江原・稲佐山周辺の火山地質,長崎県地学会誌(66):1−12.
に掲載してあります.

稲佐山のプロフィール

 稲佐山(いなさやま)は長崎市を代表する観光地のひとつで,ロープウェイで簡単に登山できます.標高333mで東京タワーと同じ高さです.山頂にはテレビ塔が立っており,町の中からもよく目につきます.全山急峻な地形で,大部分が常緑広葉樹林に覆われています.北側の小江(こえ)地域には採石場があり,九州屈指の良質な砕石(コンクリート骨材)を生産しています.

稲佐山の生い立ち

 初期に爆発的な火砕流が発生し,東西方向の帯となって堆積しました.赤色の部分がそのときの堆積物です.

 その後,小規模な溶岩(緑色は溶岩流の芯の部分,橙色は溶岩流辺縁の破砕した部分)が何回も噴出して稲佐山本体(山頂は図右下の▲印)が形成されました.青色の矢印は溶岩の傾斜を表します.これをみると今の山頂付近から周囲に向かって溶岩が流れ下ったと考えられます.

 さらに周囲には溶岩の破片が固まってできた凝灰角礫岩類(黄色の部分)が分布しています.これは地層の特徴から,雲仙普賢岳の噴火と同じように,溶岩の崩落により発生した土石流や火砕流が堆積したものと考えられます.

 一方,北側の小江では厚い溶岩流が4回にわたって流れ,途中で火砕流を伴う爆発的な噴火もありました.その後,地層が北西に傾斜するとともに南北に引き伸ばされるような地殻変動が起き,断層(黒色実線で示す)が生じて,南側が落ちました.


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http://www.fsinet.or.jp/~hoteia 制作・著作 布袋 厚 1999年