穴弘法の溶結凝灰岩

火砕流の跡?

 左は穴弘法(あなこうぼう)というところで火山から噴出された噴石や火山灰が固まってできた岩石を写したものです.よく見ると噴石の部分が横に伸びています.これは噴石などが地面に積もったときに,温度が高くて軟らかかったため,重力で押しつぶされて平べったくなったもので,溶結凝灰岩といいます(上のほうに定規が写っています.見えている部分の長さは約15cmです).
 溶結凝灰岩は全体が熱でくっつきあって,ひとかたまりの岩体になっていますが,冷えるときにひび割れが縦に入り,巨大な石の柱を寄せ集めたような姿になっています.このため,急な崖になることが多く,穴弘法も右の写真のとおり,険しい地形です.
 溶結凝灰岩は火砕流が堆積してできることが多く,阿蘇の外輪山周辺にあるものが有名です.

地質図

長崎火山岩類

 赤  溶結凝灰岩
 桃色 非溶結火砕流堆積物
 黄色 凝灰角礫岩
 緑色 溶岩(複輝石安山岩)
 橙色 自破砕溶岩(複輝石安山岩)
 紫色 自破砕溶岩(角閃石安山岩)

 金比羅山(こんぴらさん 標高366m)はほとんどが輝石安山岩(きせきあんざんがん)という濃い灰色の溶岩でできています.そのなかで西斜面の中腹に角閃石安山岩(かくせんせきあんざんがん)というやや白っぽい溶岩が噴出しています.一続きの火山の中で岩石の質が急に変わっているのはおもしろいことですが,どうしてそうなったのかは今後の研究課題です.

溶岩の顕微鏡写真

 これは金比羅山の溶岩(輝石安山岩)を薄く磨いて(厚さ0.03mmぐらい),偏光顕微鏡という装置で見たところです.鮮やかな色を示しているのはかんらん石普通輝石という鉱物です.この色は鉱物の色ではありませんし,色素で染めているわけでもありません.光が波の性質を持っているために偏光顕微鏡を通る途中で生じるもので干渉色といいます.身近な干渉色としてはシャボン玉の虹色があげられます.

穴弘法のプロフィール

 長崎市中心部の2kmほど北にある標高180mほどの小高い丘です.中腹には真言宗のお寺(本堂と奥の院に分かれている)があり,溶結凝灰岩の崖にある大きな穴の中に弘法大師を祭ってあるところから,穴弘法の名がつけられています.

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長崎火山の目次

 ここに展示した資料に関係する原著論文は
布袋 厚(1986)長崎市穴弘法の溶結凝灰岩およびその周辺の火山層序,長崎県地学会誌(44)1-8.
布袋 厚(1989)斑晶鉱物からみた長崎市金比羅山の火山岩類,長崎県地学会誌(49)19-25.
に掲載されています.


http://www.fsinet.or.jp/~hoteia 制作・著作 布袋 厚 1999年