作りたての池にトンボ繁殖

西彼杵郡崎戸町炭鉱跡地

 佐世保市の南西海上にある崎戸町はかつて炭鉱で繁栄し,閉山後は日本屈指の製塩の町として知られています.この町が西彼杵半島と橋で結ばれるのを機会に,昔の炭鉱住宅などの跡地を公園として整備する「炭鉱跡地緑化・修景事業」が進められています.長い間,ボタ(石炭採掘に伴って出る石クズ)がむき出しになり不毛だった土地や,捨てられた残土で荒廃していた土地を芝生の大広場にする事業です.



 大雨時の調整池と子供の遊び場を兼ねて作られました.地面を掘り込んで防水シートを張り,そのうえに砕石を敷いただけの簡単な作りです.岸はなだらかな勾配で,水位の変動で水際線が大きく移動します.中心部の石の列は深いところに子供が入らないように障壁として設けられています.
 今後,さらに生息に適した環境づくりが進められるようです.

自然繁殖した生物

 池は1998年にできたばかりですが,1年後にはトンボやカエルが繁殖しています.写真左はイトトンボの仲間です.大型のトンボも生育しています.右はアマガエルのおたまじゃくしに足が生えているところで,ここで繁殖している証拠です.

水路

 崎戸町には川がないので,広場の中に人工の川が作られました.普段は水なし川ですが,雨が降るとけっこう水が流れます.護岸を設けず,雑草を意図的に残してあります.

雑草地

 水路の上流部には雨水を受けとめるくぼ地(調整池)が作られ,湿地となっています.また,周辺部は芝生にせず,草原風の雰囲気を作っています.公園整備前にあった植物が残存して,少しずつ植生が豊かになっています.

 公園づくりでは人工物の中に,野生の荒々しさを組み入れるという,絶妙な手法を採用しています.ここに水辺の自然が根付き,着実に育っています.近くでは貴重なトンボが確認されています.崎戸町の試みは今後の自然復元のあり方を考えるうえで大きな参考となりそうです.

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http://www.fsinet.or.jp/~hoteia 制作・著作 布袋 厚 1999年