「ドラゴンへの道〜猛龍過江〜」
カッコイイとは、こういうことさ。 800*600 53.1KB

Once more the Closseum echoes the sound of a fight to the death!
――コロシアムに今再びこだまする死の咆吼!
(ゴールデン・ハーベスト社による海外向けキャッチコピー)

猛龍過江
(邦題:ドラゴンへの道/英題:The Way of the Dragon/米国での初公開時の題:Return of the Dragon)

製作:コンコルド・プロダクションズ/配給:香港ゴールデン・ハーベスト社1972年/日本公開1975年/提供:レイモンド・チョウ(鄒文懐)/製作クワン・チー・チュン(關志忠)、チャップリン・チャン(張蔭鵬)/監督:ブルース・リー/脚本:ブルース・リー/音楽:ジョセフ・クー(顧嘉輝)/武術指導:ブルース・リー、ユニコーン・チャン(小麒麟)/撮影:賀蘭山(西本正)/出演:ブルース・リー、ノラ・ミャオ(苗可秀)、ジョン・ベン、チャック・ノリス、ボブ・ウォール、ウォン・インシック(黄仁植)、ユニコーン・チャン(小麒麟)、トニー・リュウ(劉永)、ワン・チュン・スン(黄宗迅)ウェイ・ピン・アウ(魏平澳)、リー・クン(李昆)ほか
解説
 元は『ドラ道』のスチール・ショットの一つ。 リーの身体の美しさが一番よく現れていたので選び、 その周りの部分をトリミングし、 さらにリーとノリスがもっと離れていたのを近づけた。 元絵はノリスの右フックをリーが左手で押さえている型で、 リーの左手はほとんど隠れていたので、リーの左手の表情はオリジナル。 ノリスの右腕も伸ばした。
 背景は、このようにコロシアムが写っていたが少しずらし、 アーチ状の部分は逆光で真っ黒くつぶれていたのでレンガの表現を加えた。 柱の部分も写っていなかったので描き加えた。
  原題は右から描いた方が香港風になるかもしれないが、 現在では香港・台湾でも左書きが増えているので、 現代日本人に読みやすい向きで書いた。

  これはリーの身体の美しさを最もよく見て取れるショットかもしれない。 この絵では陰影を強調して、ブロンズ像のような質感を狙った。 対するノリスも、映像で観るとリーほど身体が締まっておらず 胸毛や背毛で全身が覆われていて、 さらに米国人にしては手足が長くないのでオッサン臭い体型に見えるけれども、 実際に描いてみると異様に発達した後背筋(脇の下の筋肉)やアジア人には無い腕の太さなどを再発見して、 格闘家の肉体を持っていることがわかった。

  『ドラゴンへの道』はブルース・リーが自ら設立した協和電影(コンコルド・プロダクションズ)の作品で、 リーが制作・脚本・監督・武術指導・主演の五役をこなしたワンマン映画であり、 香港映画では初のローマロケをおこなった。 初監督とは思えないほどの腕前を見せ、ローマでは一日に72カットを撮りあげ、 撮影を担当したベテラン映画カメラマンの西本正(日本人)を驚かせた (日本人スタッフで二日、香港人スタッフでは三日必要だろうという)。

★ストーリー★
 ローマ国際空港のロビーに一人の香港人が立っている。 主人公 のタン・ロン(唐龍=ブルース・リー)である。 初めて海外に出た彼は西洋人に囲まれていかにも落ち着かない様子で、 言葉も全く通じないのでレストランでは満足に注文もできない。 レストランで適当にメニューを指さして出されたスープ五皿を四苦八苦して飲み干すと、 ようやく彼に迎えがやってきた。
 若く美しい東洋人女性のチェン・チンホワ(陳清華=ノラ・ミャオ)は、 タン・ロンを出迎えて少々意外の念にうたれたようである。 彼女は、自ら所有するローマ市内のレストランが、 地上げを目的とする地元マフィア(ジョン・ベン)のイヤガラセを受けており、 故郷の香港から弁護士と中国武術に通じた用心棒を招こうとしていた。 弁護士より一足先に到着した用心棒が、 自分とさほど身長の変わらない小柄な男で、 あまりにも田舎者然としているので不安を隠せない。

  レストランでは支配人である叔父(ワン・チュン・スン)と香港人店員たちが出迎えた。 店員たちも頼りなげなタン・ロンを当初は信用しなかったが、 彼が見事なクンフーでマフィアが差し向けるチンピラどもを一蹴するのを見て、 次第に皆もうち解けるようになった。

 タン・ロンの活躍に業を煮やしたマフィアのボスは、 奸計を用いてレストランの人々とタン・ロンとを一気に抹殺しようとする。 和解の宴と偽って荒野にタン・ロンたちを誘い出すと、 そこにはボスに雇われた日本人空手家の長谷(ウォン・インシック) と米国人空手家のロバート(ボブ・ウォール)が待ちかまえていた。
 タン・ロンがロバートを倒し、長谷をも痛めつけているのを見て、 ボスの手先の中国人通訳(ウェイ・ピン・アウ)は逃げだそうとする。 タン・ロンが彼を追うと、ローマ市内のコロシアムに逃げ込む。 実は、そこには長谷やロバートよりもさらに強い 全米空手チャンピオンのコルト(チャック・ノリス)が待ちかまえていたのである。
 古代ローマの闘技場で、今再び男の戦いが始まる――。 一方、荒野で長谷をやっと倒した店員たちには、 意外な人物の刃[やいば]が向けられていた…。

●見所●
  この『ドラ道』は、最後のチャック・ノリスとの対決が非常にリアルであり、 主人公が他のブルース・リー主演作にはない明るさを持っているので、 現在でも“リーマニア”の間では人気が高い。 そしてまた映画ファンにとっては別の意味でも楽しめる一作だと思う。 ここではそんな見所を紹介。
  • 喜劇役者ブルース・リー: 冒頭、空港で腹を空かせたタン・ロンは西洋人の子供から アイスクリームを取りあげようとして泣き出されて逃げ出し、 レストランでスープ一気飲みをした後には何度もトイレに行きたがってチンホワや店員たちをあきれさせる。 その後チンホワにローマ市内を案内されると、 街中でイタリア人女性に誘われてのこのこついていったら実は彼女は街娼で、 オッパイを見せられて逃げ出すなど、ベタなボケを連発。
      前作の『ドラゴン怒りの鉄拳』で片鱗を見せていたリーのコメディ演技が炸裂し、 「『キャー!』言うて人けっとばすだけ」(当時のある母親の言葉) という世の認識を改めさせる。 それもそのはず、 リーの父親の李海泉(リー・ホイチュワン)は有名な喜劇俳優だったのである。
  • 「ボヨヨ〜ン」:劇中、乱発される効果音。 ヌンチャクでマフィアの手下どもを殴り倒すときや、 最後の戦いでチャック・ノリスの胸毛をつかんで抜く際にも使用される。 冒頭の空港のレストランのシーンでスープ五皿が出された際に 「ホワッホワッホワッホワワワワワ〜ン」 というコントのオチの効果音が流されたときには思わず脱力。
  • ノラ・ミャオお嬢サマ: 『怒りの鉄拳』では、清楚なおかっぱ頭とチャイナ服で観客の涙を誘ったノラ・ミャオが、 『ドラ道』ではロングヘアーにパーマをかけて ベルボトム・ジーンズを身につけた都会派のファッションに一変。 公開当時、ファンの間では賛否両論だったそうだ。
      役柄も、この作品では当初、親からレストランを受け継いだ ブルジョア娘の傲慢さで田舎者のタン・ロンを内心バカにしている。 しかし、タン・ロンが幾度もチンピラどもをやっつけて強さを見せつけると、 自ら中華料理をつくって彼に食べさせるなど、 態度を豹変。観客は唖然。
  • 武器の工夫: 舞台がイタリアでは、敵が銃を持っていない方が不自然である。 飛び道具相手では、いくら武道に通じていても「功夫だけでは銃とは戦えん…」 ((C)『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ天地黎明』)というハメに陥る可能性が高いが、 『ドラ道』ではタン・ロンがビョウという手裏剣状の投げ矢を用いることによって対抗。
      『怒りの鉄拳』から本格的に用いられたヌンチャクも、『ドラ道』では一度に二つ操り、 この“怒りのダブル・ヌンチャク”で一気に十数人のチンピラどもをなぎ倒す。 目玉の松っちゃんや阪妻もビックリだ(←たとえが古すぎ)。 しかし、次に撮影に入った『死亡遊戯』『燃えよドラゴン』 では振り回し方に逆手持ち替えを加えるなど一本のヌンチャクの技術を磨くという方向に戻った。 やはり二丁ヌンチャクは非現実的だと考えたのだろうか。
  • ローマロケの真実: ローマロケを謳[うた]った『ドラ道』ではあるが、 空港・市街・コロシアムなどは実のところ無許可撮影だった。 コロシアムも戦いの場面はセットによるもの。 舞台となったレストランも香港の撮影で、 マフィアの手下どもも香港に来ていた素人の西洋人をエキストラとして雇ったらしい。
     この作品によってローマは香港功夫映画の“聖地”となり、 インチキ・ブルース・リーの一人であるブルース・ 『ブルース・リの復讐』というワケのわからない映画でも 最後の対決はコロシアムが舞台ということになっている。 『無敵のゴッドファーザー ドラゴン世界を征く』という作品では、 ブルース・リャンと倉田保昭がローマ市街を追いかけっこしながら戦うカットの直後に アルプスの雪山を二人でゴロゴロ転がり(テレポーテーション?)、 あげくの果ては撮影禁止のローマ法王の説教を隠し撮りするという暴挙を敢行。 ウケるためならなんでもやるという香港映画人の根性を見せつけた。
  • ニセ日本人:マフィアに雇われた日本人空手家を演じたのは 韓国合気道(ハプキド)の達人であるウォン・インシック。 のちにジャッキー・チェンの映画にも出演した彼は、 「おまぃはたんろんがぁ?」(お前はタン・ロンか)、 「このやろっ!ていっ!ばかやろっ!」、「あぁいた、あいた!」(あ痛) などの怪しい日本語を連発して日本人観客をなごませてくれる。
  • そして誰もいなくなった: ラスト、マフィア側で生き残った主な者はボスくらいだが、 こちらもタン・ロンを除いてはチンホワと もう一人の店員くらいしか助からない。 タン・ロンは彼らを守るためにやって来たのに。 『ドラゴン危機一発』・『ドラゴン怒りの鉄拳』 以来の“ブルース・リー映画の主人公は不吉”という法則を踏襲。
  • 名ラストシーン: 全編コメディタッチで展開する『ドラ道』も、 最後のリーVSノリスの対決以降ではグッとシリアスになる。 ラスト、チンホワに別れを告げるタン・ロン。 『危機一発』・『怒りの鉄拳』以来の常連でボケ役を演じてきた李昆が、 ここではシリアスに名台詞をつぶやきながら見送る。 冴えわたる西山正のカメラ。 実際観てもらった方が良いと思うので、詳しくは書かない。 知りたい方は、レンタルビデオ屋へどうぞ。


Painter 5.03J+Photoshop 5.02+Photoshop 4.01

貴方の御感想を渇望中!掲示板へどうぞ

「ドラゴンへの道」へもどる

「画集」へもどる

HOMEPAGEへ戻る


メールはこちらへ