「アジアの肉体」
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よみがえれ、アジアの肉体!

 『燃えよドラゴン』ディレクターズ・カット版(および広東語版)の冒頭で、高僧がリーに「敵は幻影(image)の中にのみ存在する。幻影を打ち砕け!」と教える。ラスト、「鏡の間」の死闘で窮地に陥ったリーの脳裏に高僧の教えがよみがえり、手足が届く限りの鏡を割って危機を脱する。
 『ドラゴン:ブルース・リー物語』(93年米 ロブ・コーエン監督 ジェイソン・スコット・リー主演)では、リーが見る白昼夢の中に甲冑姿の“悪魔”が度々現れ、彼自身や息子ブランドンの命を奪おうとする。ラスト、『燃えドラ』の「鏡の間」の場面を撮影中、白昼夢に襲われたリーは悪魔に圧倒され、ブランドンまで危機に陥るが、リー自身の力で打ち破る…。
 『燃えドラ』を不滅の名画とした原因の一つである「鏡」は、ブルース・リーの伝記映画の中でも効果的に用いられた。

 今年(98年)の11月1日には「東京国際ファンタスティック映画祭」で『燃えよドラゴン ディレクターズ・カット版』が上映され、11月6日にはTV朝日系の『驚きももの木20世紀』でブルース・リー特集が放映された。
 その番組の中で、リー始祖の写真パネルを有刺鉄線で縛るという不遜な映像があった。いや、実際は鉄条網ごしにリーの写真を置いたもので、本当に有刺鉄線を巻き付けたわけではないのだが、視聴者側からすると完全にリーの写真パネルが有刺鉄線によって縛られているように見えたのだ。一瞬憤りながらも、ドラゴン・ボンクラであると同時にCGボンクラでもある私は「この絵面はイケる!」と思ってしまった(笑)。
 割れた鏡(?)に映っているのは『ドラゴン:ブルース・リー物語』の悪魔。なぜ甲冑姿なのかは謎だが、もしかすると筋金入りのドラゴン・ボンクラであるらしいロブ・コーエン監督は、『ドラゴン怒りの鉄拳』でリーの敵役の「鈴木」を演じた橋本力氏が“大魔神”に入っていたのを知っていて、それへのオマージュで悪魔を甲冑武者にしたのかもしれない!……考えすぎだろうか。

無法を以[もっ]て有法と為[な]し、無限を以て有限と為す。もしその二つが永久[とわ]の流転をくり返すならば、よみがえれ、アジアの肉体!
(『驚きももの木20世紀』「アジアの肉体 BODY/SOUL(ブルースリー)」より)

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