





アナログシステム研究所 (NEWS RELEASE 4007)
#4007 国際経済の発展が平和の礎
ドルが実質的な機軸通貨となっていたために、その過剰流動性がもつ特徴が多くの問題を派生させていたように思います。例えば日本の政府が円高を極度に嫌うため、だぶついたドルを日本へ流せばいくらでも買い取ってもらえるようになっていたことがその一つです。外資がユーロの誕生ではみ出したドルを転用して日本の資産を買うと、円高が進んでしまうことからその対策として日本はドルを否応なく買わざるを得なくなるというシステムができ上がっていました。
(機軸通貨としてのユーロがEU圏でドルが占めていたシェアを低下させました。しかし、ローカルカレンシーでもあるというドルがもつ二重性までを取り去ることはできなかったようです)
日本が大量の米国債を常に買ってきたという結果は、円高という状態がさせていたことでした。アメリカにとっては民間ベースでユーロドルからドル円へのシフトがおきると、貿易赤字の改善に繋がる円高効果が実現するだけでなく、最終的に長期国債に大口の買い手がつくという「風と桶屋」のような関係が成り立っていたのです。(国債が大量に売れるということは、現金収入(負債ではありますが、返済を制御することができます)を増やして財政にゆとりを生みだすということでもありました。更に金利を安定化してインフレを抑制するという意味も同時にもっていたのです)
日本に買わせた米国債は、勝手に売却されてしまうようなことがありません。円高対策の措置で買った債券を売りに出せば、借金をして円安にした状態を自ら消し去ることになるからです。借金というのは、財務省が介入資金として短期証券を発行して得たものだったからです。アメリカは円を買って得た日本の資産を増やすだけで、ドルがもっていた過剰流動性を消すのみならず、自由に使える現金を国債と引き換えに還流させることができるようになっていたのでした。しかもその負債は長期間返す必要さえありませんでした。日本の資産を買って所有権を拡大しようとする民需(外資)がある限り、円高という状態が市場に生まれていることになるため、日本はドルを円に換えるチャンスを失っていることになるのです。こうして日本から固有の資産が奪われただけでなく、海外にある日本の資産も回収することができなくなっていったのでした。
円の価値があがることになる円高は、輸出比率の高い日本にとって輸出産業の利益を圧迫することになることから、これまでドルを買って円の価値を引き下げていなければなりませんでした。ドル安はアメリカにとって自国の輸出産業にメリットを与えるだけでなく、貿易赤字の原因となっていた円という通貨がもつ競争力を奪うという効果がありました。日本は円を売って得たドルで、アメリカの国債を買っています。最長30年間の長期債です。この期間の間アメリカは自由に使える現金を活用することができました。日本は30年後に元本と利息とを回収できるはずでしたが、この時にドルが高くなっていないと円に換えることはできないのです。円高対策で講じた措置が、円高を再現したのでは元も子もありません。ドル資産のまま抱え込んでいなければならないため、結局のところ元利共に米国債へ再投資される確率が年々高まってゆくのです。
アメリカは余剰となったドルを使って、日本の土地と企業そして株式などを購入することができました。日本はというと、買い取ったドルでアメリカの証券を買うという選択をしてきたのです。その殆どが長期国債だとされています。(およそ90%が証券でその他がドル預金と金でした)円高を嫌う日本がドルを買って円の価値を引き下げ、円と引き換えで得たドルを米国債へと投資するという仕組みができています。米国債を買うのは金利差が大きく(日本の金利は最低のレベルに長いこと貼りついています)、元本が相対的に安定しているとみられていたからです。なによりアメリカの財政を下支えすることになることから、アメリカが日本の国債を買っていないにも関わらず、アメリカの長期債を好んで買っていたのでした。このような事実があるからこそ、日本はアメリカに従属していると世界から見られているのです。
為替介入で購入した米国債が長期債であるため償還までの期間が長く、円が高くなっている段階ではドル資産を円に換えることができないという抜きがたい制約があったため、外貨準備がドル資産のままでこれまで繰り越されついに巨大化することになっています。為替市場が円安の状態に依然として戻っていなかったからでした。このためアメリカには返す必要のない、自由に使える大量のドルを現金で、しかも長期間留保しておける状況が与えられることになったのです。
(ここに気づかなかったということが、日本における最大の問題点になっています。アナログ分析を行っていたら、これほど多くの損失を生むことはありませんでした。問題を正しく認識することができていたはずだからです。要素抽出と要因分析がなされていなかったために表層をみただけで対応に着手し、金利を引き下げてドルの流入を防いだことがデフレを日本に定着させるという結果を招いたのでした。そのため日本に帰属していた固有の資産を外資といわれる勢力に奪われ(新生銀行のケース以外にたくさんの企業買収が行われています)、更に円高を目指す外資に波状攻撃を仕掛けさせる素地をつくっただけでなく、ドル資産を塩づけ状態にしたまま国内に資本の空洞化を長期間引き起こしていたのでした。これが、国民を困窮させてアメリカを扶け続けることになった経緯のあらましです。よい政府とよい官庁を国民はもたなければなりません)
日本がドル買い介入して外貨準備を積み増すということは、このような意味をもっていたのでした。現状ではこの先円安になる見込みは殆どありません。ドルは毎日供給され続けているのです。貨幣価値に揺らぎが生じ易いという性質をもっているのが、この機軸通貨としてのドルの性質であるといえるでしょう。通貨としての価値がもっているこの揺らぎを、日本が後追いで為替市場に介入することで調整した結果だったのです。円高を仕掛けられてから動いていたために、便利な調整機関という位置づけが生まれるようになりました。このような背景ができていることに気づこうとしなかったことが、財政赤字を増加させて投資リスクを高めるという結果を招いていたのです。つまり、日本に帰属していた資産(土地、企業、株式等)の所有権をアメリカに移転させ、ドルを買うための借金を抱えこんで米政府に国債という使途に制約のない現金収入を供与しただけでなく、日本国内に資本を回収することができない状況を自ら作り出していた、ということになる訳です。そんなことをやっている国が繁栄できるはずはありません。信用評価が途上国並みのレベルにまで下がっていたのは、寧ろ当然のことだったと言って良いでしょう。
ドルの過剰流動性を吸収してインフレ圧力を回避していたのが、この日本という国でした。アメリカ側からみると、市場で余ってでたドルは日本の資産を買うだけで、自国の貿易赤字を改善する効果が得らえるようになっていたのです。制限なく発行されていたドルの流通量を安定化させるには、供給過剰となった分のドルを日本に吸収させていれば問題はおきません。日本がドル売りに対抗して、円安へと向かう通貨価値に対抗させるための傾斜を自発的に作ってくれていたからです。アメリカにとってドルがどんなにダブついたとしても、心配することはなにもありませんでした。緩衝装置の役割を果す日本という国がある限り、ドルを起源とするインフレ(通貨価値の下落)の成長に配慮する必要はなくなっていたからです。
アメリカが日本の国債に投資していればなんの問題もなかったのですが、その実際の投資先は土地とM&A、そして株式などの先の長い未来型の資産へと向けられていたのです。日本の国債はその95%が国内の投資家だけで占められています。この保有比率の分布形態は、外務大臣が訪問先の各国で直接交渉しても変える事ができませんでした。原因は証券投資のリスクを査定する格付け会社によって、日本の国債への投資が途上国並みのハイリスクなものであるという評価が定まっていたからです。日本の国債の評価が極めて低いのは、財政赤字の累積が極端に高くなっていたからです。赤字国債の発行残高が嵩み、累積債務が巨大化するほどまでに成長していたのでした。この状態を生み出したのは歴代の政府がとってきた政策です。バブル崩壊後の景気浮揚を目指して有効需要の拡大を図ったのでしたが、結果はデフレ基調が相変わらず続いています。国内市場の景気回復に上昇機運はみられるものの、今尚低回する傾向を続けるという先の覚束ない実態が維持されていたのでした。
企業内のリストラが進み、中国の旺盛な需要に支えられて日本の製造業が活発化し、企業減税などの措置で業績を回復するケースが増えるようになりました。IT化で株価を下支えする市場参加者が増え、金融不安も収って銀行の貸出残高と日銀券の発行残高の推移などからも回復基調が覗えるようになっています。しかし失業率は相変わらずの状態を続けており、国民の所得水準は低下したままであることから消費者物価がデフレ基調から脱するところまではいきませんでした。選挙で自民党が圧勝し近々増税が確実視されているため、消費が拡大する可能性は今後更に低下するだろうと思われます。このように日本の経済基盤は脆弱な性質を保持しており、景気の回復が遅々として進まないため財政赤字は減るよりも更に増えるだろうと思われます。歳出項目の見直しで若干の改善は期待されるものの、抜本的な解決には程遠いとみておくべきでしょう。
近づくインフレの足音
金の先物取引価格がNY市場で上昇していることを、9月16づけ夕刊は伝えていました。原油の上昇がインフレを警戒するヘッジファンドに早々と手を打たせているということになる訳です。ドル円相場はここ数日ドル高傾向で推移していました。高くなった原油価格が、ドルの実需を引き上げていた模様です。金への投資が今後増えるならば、ドルの需要は更に高まることになるでしょう。金利も上昇してはいましたが、金利差目当てのドル買いという説明がなされていますが裏づけとなるデータは開示されていませんでした。(金利差目当ての資本移動は市場が先に織り込んでしまうため、単発的な低レベルの調整金利であれば実勢価格に大きな変化を引き起こすようなことは通常考えられません)
原油の上昇がこの先もまだ続くようなら、金の先物相場には強い上昇志向が現れる可能性があります。この場合、原油と金との取引量の増加に応じた通貨供給量の調整が必要になるはずです。円は相対的に低下する円安傾向を一時強めるでしょうが、アメリカの経済にとってこの円安という状況は不利益となるだけのことですから、ドルの供給量を増やして対抗してくるものと思われます。ドルの需要が増加する傾向で推移しているうちは堅実な反応だといえますが、ドルの需要が反転急落するような場合には深刻な経済事案の発生を想定しなければならなくなるでしょう。制御し難いインフレが始まっている可能性があるのです。そのケースでは、円は急騰せざるをえません。そうならないことをただ願うのみです。
国際経済という観点からみると日本がドルを吸収し続けている限り、ドルの通貨価値が大きく損なわれるようなことはありません。価値は下がったとしてもドルは安定した状態を保つことができるでしょう。しかし円高が続いて日本の体力が消耗した時、大きな変化が起きることになるだろうと思われます。行き場を失ったドルが市場で浮き上がり、買い手を求めて世界中をさまようことになるからです。問題が見えている国なら、ドルを買い支えるようなことをするはずがありません。ドルを買うことがどれほど危険な行為なのか、その頃になると誰の目にもよく見えるようになっているはずです。機軸通貨をドルからユーロへと切り替えてしまえば、損失をある程度抑えることができるでしょう。しかし既存のドル資産は失われてしまうのです。このため世界中が自分の資産をドルから別のもの(ドル以外の外貨または金などの現物等)へとシフトするため、ドルは一気にもて余される存在へと堕ちてゆくことにならざるを得ないのです。先日から金の先物価格が上がっているのは、インフレヘッジが動きだしたことを示す予兆だとみて差し支えないでしょう。
(その後原油の高騰が小康状態に移ったため、金へのシフトは潜在化したように思われます。緩やかなドル高が尚つづいているのは、外資が利潤をドルに戻しているからでしょう。債券と株価が大きく成長している段階でのドル高は、外資がもっている円資産が本国へドルとなって帰還しようとする現象以外のなにものでもありません。外資の弱点は必ず利潤をドルに戻さなければならないというその点にあるのです。日本で決算を行うのならもはや外資であるとはいえません。利潤を国外に持ち出す必要自体がないからです。
日本が円安を誘導しなくても、決算月には外資が円を売ってドル買うことになるため、円安の状態が発生するはずです。緩やかなドル高が暫く続くようなときには、外資による資産の送還が起きているとみてよいでしょう。とくに四半期ごとの決算月にはこのような現象がおき易くなる傾向が見られます。NYと東京の株式市場でも外資による値動きが見られないことから、金利差目当の相場だろうと思われているようですが、実際は決算用の資金移動が主であって金利を目的としたものではありません。表層面だけをみると確かに現預金の増加とそれに伴う債券市場の変化のように見えはしますが、深層にはは決算結果を演出するための資産の回収という事情が潜んでいるのです。日本に円を売る第三勢力が生まれていたら、外資の利益が簡単に還流することはできなかったことでしょう。つまり、円買いが急進するような事態にはならなかっただろうということです。外資の制御を超えて続伸するドル高は、彼らの利益を簡単に蒸発させてしまうことになってゆくからです)
インフレが進みだすとアメリカが抱えていた国債などの借金は、通貨同様殆ど価値のないものになってゆくはずです。アメリカはどんなに借金を重ねても、それが苦にならないという立場にある国なのです。ワーストケースを想定した場合の結果であるハイパーインフレが落ち着いた後で、身軽になった負債を返して財政を立て直せば国の再興を短期間で果すことができるでしょう。巨大な損失はそれまでドルに投資してきた全ての国と企業、個人などが等しく負うことになっています。アメリカ自身が持っている負債はインフレになると、たちどころに圧縮されてしまうようになっているのです。
この事実を承知しているアメリカだからこそ、返す必要のない借金を平気で積み重ねることができたのです。(在米のシンクタンクの中には、このインフレ効果の誘導実現を明言しているところさえあるのです)金の保有率をみても、全体の四分の一がアメリカ国内に確保されていました。(金はどんなときでも最高のインフレヘッジになります)問題は貨幣価値の下落の方に強く現れるだろうと思われます。過剰に供給されたドルが行き場を失えば、発行元であるアメリカを目指して帰ってくるようになるのです。どんな国だって価値の下がったドルなどを必要とはしないはずです。ただ一つ日本という名を持つ例外的に特異なこの国を除いては。(日本のドル資産は既に国家予算の規模を超えたものと思われます)
日本は外資が仕掛けてきた機軸通貨がもつ過剰流動性を吸収することで、ドルの通貨価値を保ってきたのでした。日本へ流入してきたドルは、政府日銀が円に変えてやることで円高の急進を回避して円安へと戻していたのです。その結果アメリカの国債が売れて、日本に資本の空洞化という現象がおきたのでした。アメリカは自由に使える大量のドルを回収し、イラク戦争とその戦後処理やアフガニスタンの治安の維持などのために使うことができました。その資金は借金ではありましたが、督促もされなければ返す必要さえ制御することができるようなものだったのです。アメリカは自分で使ったドルを日本に回収させ、円資産を増やしながら米国債を買う権利を与えるという立場を堪能していたのでした。
インフレをいつ引き起こすかは、日本にその決定権があるといってもよいのです。ドルの過剰流動性を吸収しないという選択を実行すれば、アメリカが得ていた有利な状況は暗転するでしょう。要するに円を供給しなければ、ドルの流入はありません。この方法はしかし現実的なものであるとはいえません。そこで流入した以上のドルに対応する円売りを強化して、ドルの価値を一段と高めてから在外資産を円転し、インフレが発生しても損失を最小化できるようにしておかなければなりません。その場合新たに調達したドルで証券を買うのではなく、金と言う絶対的な価値を確保するために使うべきです。日本の金保有率は極めて貧弱なものだからです。その上で時機を見てドルの吸収を抑制するというのが望ましいプロセスだと言うことになるでしょう。交渉ごとではあらゆる可能性を相手にイメージさせることが重要です。
日本が金をもつようになれば、為替レートを気にすることなく、いつでも自在に資産を換金するすることができるようになるでしょう。アメリカと対等な関係で対峙しない限り、日本の資産は劣化する危険に晒されていなければならないのです。日本の意思を明確にすることこそが、本来重要なことだったのでした。目先の円高を恐れていたことが、アメリカの優越性を強化することになっていたのです。この状況を変えるためには、日本の認識が到達しているそのレベルをアメリカへ正しく伝えなければなりません。日本の国債をアメリカが買わない限り、互いにとって不利になるだけなのです。日米関係は相互に支えあうことで成り立っているシステムででなければなりません。破綻競争に進展すれば、国際経済にも大きな影響が及ぶことになるでしょう。
健全な日米関係を早く取り戻そう
日本が自らの力で状況を変えようとしない限り、アメリカの優越性と日本の依存体質はこれからも続くことになるでしょう。日本にできている現在のこのスタンダードは、本来この国の民族が引き継いできたものではありません。敗戦によって与えられたものなのです。その手本となったものが戦勝国であるアメリカの姿でした。アメリカには軍隊も地下資源もありましたが、日本にはそのどちらも共に与えられていませんでした。日本という国は終戦を契機として、基本的に一次産品以外自給することも、自立することもできない国になっていたのでした。牙を抜かれた虎のように、与えられたものにすがって生きるしかなかった時代の存在が、今日の日本に大きな影響を及ぼしているように思われます。お手本であるアメリカの外形を単に真似ていただけだったことから、民族としての主体性が次第に失われてしまったもののように思われてなりません。
アイデンティティをもつことが禁じられていたために、民族として一つに纏まろうとすることができなかったのでしょう。管理する側にとってもその方が寧ろ都合がよかったはずなのです。そのために国民の愛国心が育たない社会環境が拡大し、国歌と国旗にも多くの人がアレルギー反応を引き起こすようになってしまったのでした。また管理された状態を保守することには従来から長けており、困窮状態に陥らない限り現状のありさまでも満足することができていたもののように思われます。今、政界には二大政党制のようなものができていますが、どちらの政党も大同小異で違いというほどのものを見つけるのは困難です。本質がカーボンコピーのままなのですから、そこに見出される違いがあるとすればそれは色の濃淡でしかありません。どちらの政党もアメリカの力に依存することを前提とした政策を掲げています。自立するというアイデアは始めから除外されていたのでした。日本人が戦後目指してきたものは、一体なんだったのでしょうか。
日本の今の姿は、民族としての日本人の真の姿が反映されたものではありません。上辺のカタチを真似てアメリカのように振舞ったとしても、その価値のもつ本当の意味が判っていた訳ではなかったからです。いつまでたってもアメリカのコピーでしかないことが、民族として自立しなかったその証拠だと言えるでしょう。国そのものに求心力がなく経済発展だけを目指して邁進してきたために、哲学をもてない国になってしまったことは間違いありません。哲学を持つ国が憲法を蔑ろにするようなことはありえないのです。アメリカこそが哲学を持たない国の代表的な存在でした。国の成り立ちに背景となる時の厚みを欠き、州という小さな独立国家を寄せ集めたパッチワークのような集合体であるに過ぎないのです。日本がその51番目の州と呼ばれているのは、決して謂れのない話ではありません。
この日本に本来の姿を取り戻させるには、どうしたよいでしょう。自主性を取り戻すには、自立することができていなければなりません。自立するには食料を自給し、エネルギーを自足できる環境を整えなければならないでしょう。その上で安全を確保し、恒産に勤しみ、経済を復興させて富を蓄えなければなりません。グローバライゼーションは既に機能しはじめています。一国だけが充実しても発展の継続はありません。全体としてゆったりとしかし確実に成長するためのモデルを構築する必要があるでしょう。そのビジョンの一つとして平和本位制のもつ意味を記述してきました。現在世界がおかれている困難な状況からは、地下資源の過剰な消費が気候の変動を引き起こしているという、人類に対する警告のメッセージが送りつけられてきていたのでした。海水温が上昇して台風やハリケーン、サイクロンなどが同時多発するようになり、その気圧低下のレベルが従来余り見られないほどの異常な数値を示すまでに発達するようになりました。
経済構造におけるインバランスの存在が、アメリカに富を集中させるという仕組みを成り立たせていたのでした。この構造がいま、調整圧力を受け始めているのです。機軸通貨としての役割を果たしてきたドルに、明らかな過剰流動性が観測されるようになりました。ドルが受けていた調整圧力を逃がしてそれを吸収してきたのが、この日本という国だったのです。余って過剰となったドルの行方は、日本の資産を買い取るために使われることで母国へと帰ることができるようになっています。その最初の変化が95年に記録した未曾有の円高だったということなのです。
(ユーロの前身であるエキュと呼ばれる通貨の時代でしたが、EU市場が正式に発足する前にドルをこの地域から駆逐していたのでした。その影響をモロに受けたのが当時の日本だったのです。プラザ合意の項目であるファンダメンタルズを反映していない円高だったため、日本の当局者の全てが未だに謎として理解に苦しんでいるのです。アナログ(定性)分析ができる人が内部にいたら、すぐに原因がわかるような簡単なことでした。しかし、昧きが故に失ったこの国の富の大きさを思うとき、教育のもつ責任の重さを痛感せずにはいられません)
日本は国内の資産を売り渡して、アメリカの国債を買うことでこの通貨危機を乗り切りました。つまりEU地域で余ったドルが日本の資産をアメリカに確保させていただけでなく、国債となってドルそのものを母国へと還流させていたのでした。アメリカの抱えている膨大な負債は、将来発生するであろうインフレが終息したあと、減価したものが債権者へと弁済されるようになるはずです。このプログラムがアメリカの内部で動いていることを、日本政府は早く理解しなければなりません。大きなインフレが発生したその時、国民の利益は一斉に消滅することになるのです。国家予算に達するほどのドル資産が、アメリカに預けられたままの格好になっているからです。
現在のこの経済的な諸状況は、日本がこれまでに行ってきた数々の決断(或いは不決断)の結果が複合してもたらしているものです。とりわけアメリカの財政を支援することにしかなっていない外貨準備が、日本の財政赤字を増やしていたのでした。そして日本に戻るべき在外資本が、アメリカへ渡ったまま還ってこられない状態が続いています。そのために資本の空洞化がおき、経済活動全体に及ぶ空白域が作り出されていたのでした。ドル資産を大量にもっている日本という国の経済が低迷し、世界中から借金を重ねているアメリカという国が一際繁栄しているのです。世界中から資本がアメリカへと集まってくる仕組みができていたからです。アメリカの国債へ向かって多くの国から資本が集中してくることが、このような合理に反する結果を生んでいたのでした。アメリカ型資本主義の欠陥はこの点に潜んでいます。将来のインフレはその結果として必然的に引き起こされる面の一つであるに過ぎません。
最大の問題は日本の政府並びに有識者が事象の意味を認識していない、ということに帰するでしょう。アメリカが繁栄して日本が困窮しているのは、政府の判断に誤りがあったからです。そのために健全だった企業が、短期間で集中的に倒産してしまったという時代がありました。増税をしなければならないのはあらゆる対策を先送りにして、アメリカだけを支え続けてきた現政権が招いたことなのです。資本を還流させるメカニズムが成り立っていたのなら、アメリカの消費を抑制して、日本の消費を拡大することができていたはずです。
この簡単な事実に気づかないでいたために、日本の財政を悪化させたうえ国力も衰弱させただけでなく、アメリカを一層繁栄させている原因をひたすら大きく育てることになったのでした。この問題の所在を指摘する組織、個人が国に不在だったということが、現在の状況をつくったのだと言えるかもしれません。この国の現状をみるにつけ、日本が受け容れるべき宿命の拙さに愕然とさせらてしまいます。温暖化が進んで核兵器が拡大してゆく限り、人類に残された未来は劣化することになるでしょう。
2005/09/18
Rev.2005/09/28