『化物語(下)』 2009/07/23
 『化物語(下)』を読む。
 現在アニメが放送されている『化物語』の原作である『化物語(上)』を買って読んでみたら、これがアニメ以上に面白かったので、続編である『化物語(下)』も買ってしまいました。本2冊で3千円超は正直高いと思うけれど、これだけ面白いと文句も言えません。
 というわけで、『化物語(上)』同様大いに楽しませていただいた『化物語(下)』ですが、この巻にはありゃりゃ木君の後輩の中学生で妹の元同級生である千石撫子の物語である『なでこスネイク』と、ありゃりゃ木君の同級生で成績学年TOPの委員長、羽川翼の物語である『つばさキャット』の2作品が収録されています。
 『なでこスネイク』は基本的には千石撫子の物語なんですが、それよりも百合でBLなスポーツ少女の神原駿河の方が目立っている気がします...というか完全に目立っています。決して千石撫子という少女が無個性というわけでも魅力に乏しい訳でもありませんが、いかんせん相手が個性の固まりのような神原駿河では影が薄くなってしまうのも仕方がありません。もっとも、あっりゃりゃ木君を取り巻く『普通では無い』少女達の中にあって、千石撫子の『普通』さはこれはこれで大きな個性なんですけれどね。
 『つばさキャット』では羽川翼の隠された気持ちが明らかになるのですが、これを知った後で『なでこスネイク』で撫子がありゃりゃ木君に会いに来た後の翼の台詞とか、まるでキスを誘うような仕種をする場面とかを読むと、ほんと切ないものがあります。想い人から他の女生徒の恋愛相談をされるなんて、これほど残酷なことはありません。まったく、ありゃりゃ木君の朴念仁ぶりときたら美少女ゲームの主人公クラスですよ。でも、そいういう自分の気持ちを表に出せずに溜め込んでしまうのもまた羽川翼の弱さなのかもしれませんね。まぁだからこそアイツが出てきちゃったわけですが...
 しかし、『つばさキャット』の最大の山場は、実のところ、ありゃりゃ木君と戦場ヶ原様との初デート(但し保護者同伴)なんですよね。あの満天の星空の下での会話はありゃりゃ木君じゃなくても萌えてしまいますよ。そして、ありゃりゃ木君を送り出すときの『ツンデレサービス』。これにはもうHPをほとんど持っていかれちゃいましたね。まさに『戦場ヶ原、蕩れ!』って感じで、いやぁ、戦場ヶ原ひたぎというキャラは近来稀に見る逸材です。

『偽物語』 2009/09/30
 『偽物語』は『化物語』の後日談で、上巻には暦の大きな妹、火憐がメインの『かれんビー』が、下巻には下の妹の月火がメインの『つきひフェニックス』が収録されています。
 『かれんビー』には暦ハーレムの皆様も総出で登場していますが、中でも撫子は思いがけない側面を見せてくれて、蛇に憑かれたのがなんだかうなづけちゃいます。また、一番イメチェンしたのは翼で、トレードマークだった三つ編みをバッサリと切り、眼鏡からコンタクトへと変え、ある種の属性の人からすれば残念なことになってしまいました。まぁこれも彼女自身のケジメなんですけれどね。しかし、あのガハラさんを調教してしまうんですから、やはり彼女が最強であることは間違いありません。そのガハラさんですが、冒頭ではいきなり暦を拉致監禁してしまうという、いかにもな行動を見せてくれますが、ある人物との再会によって、彼女もまた自分自身にケジメをつけます。それがあったからこそ(また羽川翼の調教もあったからこそ)、下巻の彼女につながるんでしょうね。一方、八九寺だけはまったく変わっていません。暦との掛け合いにもますます磨きがかかってきています。まぁ確かに見た目は小学生ですが、もし迷ってなければ実年齢は暦より上のはずですからね。また『かれんビー』では新たなヒロインが登場します...というか『化物語』でも姿を見せてはいたのですが、口を開いたのは、この『かれんビー』が初めてなんですよね、忍は...。『かれんビー』は暦と忍が和解をする物語でもあるのです。さて、それじゃぁこの物語のヒロインであるはずの火憐はどうかといえば、暦ハーレムが総出演した上に忍まで加わってしまったら、どうしても影が薄くなってしまうのはどうしようもありません。というか、『かれんビー』は火憐がメインといいつつも、結局主人公は暦だし、そして真のメインヒロインはまだまだガハラさんなのです。ラスト近くで「今夜は、私に優しくしなさい」とガハラさんが暦に告げる場面があるのですが、あの後二人はどうしたのか、実に気になるところです(^^:)。
 これが『つきひフェニックス』になると、ガハラさんは「ガハラさんがデレた」という暦の台詞はあるものの、一度も姿を現しません。それどころか、暦ハーレムの中でまともに暦と会話をしているのは八九寺くらいのものです。それじゃぁ暦が誰と一番話をしているかといえば、これがメインであるはずの月火でもなく、忍なんです。『つきひフェニックス』といいつつも、この物語の中心となっているのは、実は暦と忍なんですよね。それにしても、忍のドーナツ好きがこれほどまでとは思いませんでしたよ。ドーナツ好きの吸血鬼というのも不思議な感じです。
 それはそれとして、『かれんビー』では火憐と、『つきひフェニックス』では月火と、実の妹二人とキスをしてしまう暦君は鬼畜以外の何ものでもありませんね(^^:)。

俺の妹がこんなに可愛いわけがない 5 2010/01/10
 前巻は突然の桐乃の渡米、そして黒猫の高校入学という急展開のラストに加え、なおかつ今後の展開についてのアンケートをとるという色々な意味で吃驚させられましたが、桐乃不在の今巻でも『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』は変わること無く『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』でした。それまでの桐乃の立位置が黒猫に変わったといえばそれまでかもしれませんが、それが逆に桐乃の存在の大きさを表しているんですよね。それにしても黒猫(この5巻にしてようやく本名が明らかになりました)が桐乃から麻奈美のマイナスメージを植え付けられていたことを考えるに、桐乃が京介のことを(表面的には)嫌っていたのは、やはり麻奈美の存在が原因のひとつなのかもしれません。ラストには桐乃も登場しますが、まったく、この兄妹ときたら、お互い好き過ぎるでしょう(^^;)。
 5巻では隠れ腐女子の瀬菜とゲーム研究会部長の三浦というくれまた非常に濃いキャラが登場しますが、三浦は前巻で京介にイタ自転車を貸してくれた人だったんですね。彼はある意味沙織と同じ立ち位置にいる存在のように思えます。もちろん瀬菜の暴走というか自爆ぶりもなかなかのものでしたが..

『「大人」がいない...』 2010/03/02
 清水義範『「大人」がいない...』(2006年1月発行)を読む。
 私自身がいい歳こいてヲタク趣味も持っているような『大人になりきれていない大人』の典型なんで、読んでいて色々と身につまされるものがありました(もっとも清水義範はヲタク趣味そのものを否定しているわけではないのですけれどね)。
 まぁそれはそれとして、米国の金融破綻以後の世の中は、まさにこの本の『第9章「大人」が必要な苦境の時代』になっているんですよね。本書で「万一、この先は豊かさどころか、貧しさの時代になるのだとしたら」の『万一』が現実になってしまっているんです。
 「本当の問題解決能力を持った、大人のわかり方をするようにしないと、どこかで行き詰まってしまうかもしれない。そういう知恵が必要な時がこの先、かならずあると思うのだが」というその時なんです。
 しかし、残念ながら私自身を含め『本当の問題解決能力を持った、大人のわかり方』ができる人間が少ないのもまた事実なんですよね。それでも、せめて『人生をもっと幅広く、ふてぶてしく捉えて』いくぐらいのことはしてみたいものです。

『HR〜ほーむるーむ』 2010/05/13
 『HR〜ほーむるーむ』は作者である長月みそかが表紙カバーの折り返しに書いた言葉通り「大人でも子供でもなかった中学時代。背伸びしつつもまっすぐだった、気恥ずかしいほどに甘酸っぱかったあの頃」が描かれたマンガです。
 この作品はメイン・キャラクターである、中原千枝、梶井素子、田山ハナという3人の少女と北原愁一、藤村明雄、島崎直木という3人の男子が同級生となった中学2年の新学期から高校1年の3学期までが舞台となっていますが、この年頃って、女子は女性へ、男子は男性へと変わって行くまさに『大人でも子供でもなかった』なんですよね。
 女子3人と男子3人がメインの初々しい青春物といえば、犬上すくねの『うぃうぃdays』という作品もあり、色々と共通点は多いのですが、『うぃうぃdays』がひたすら『うぃうぃ』とした関係を描き続けているのに対して、『HR〜ほーむるーむ』はその先まで描いているというのが一番の違いかもしれません。もっとも、その回(『あやまち?』というそのまんまのタイトルです(^^:)は雑誌掲載時には大きな反響を巻き起こしたみたいですが......でもなぁ、高校生ともなれば流れでそういうことになっちゃうこともあるのは自然なことだと思うんですけれどね。
 そういうことはさておいても、普通の中学〜高校生の甘酸っぱい物語が好きな人だったら、大いに楽しめる作品であることは、『普通の中学〜高校生の甘酸っぱい物語が大好きな』私が保証します。
 ところで、作者の長月みそかは、スヌーピーで有名なコミック『ピーナッツ』のファンのようで、所々に『ピーナッツ』ネタが入っていますね。特に第2巻の『揺らいでみたり』の最終コマでハナが開いている『精神分析スタンド 5¢』はルーシーの『精神分析スタンド 5¢』そのまんまです(御丁寧に最下部に『Misoka』と『Schlz』(『ピーナッツ』の作者)風サインも描かれています)。その他にもため息の『Sigh』とか...
 ちなみに、『HR〜ほーむるーむ』の登場人物の名前は日本の文学者の名前が元になっているそうで、そういわれれば上記6人の名前なんかそのまんまですよね(島崎君なんか二人分入ってるし)。2巻には登場人物が一覧できるイラストが付いていますが、それを見るとなかなか壮観なものがあります。

『伊藤さん』 2010/05/31
 『伊藤さん』は2009年12月に発売された秋★枝の初の短編集ですが、タイトルにもなっている『伊藤さん』シリーズが何ともニヤリングな作品で、いやもうこれだけでも十分に新刊で買った価値があります(^^:)。
 『伊藤さん』シリーズは作者である秋★枝のサイトで不定期に掲載されていたマンガに手を加え再構成した短編ですが、ヒロインの伊藤さんが実になんとも可愛いんですよ。可愛いといっても、俗に言う萌え系の可愛らしさとは違います。というのも、伊藤さんは眼鏡をかけた見た目知的な28歳独身OLで、性格は素直でなくて、しかもヘビー・スモーカーという、『萌え』からは最も遠く思える女性なんです。
 でも、そんな彼女が彼氏を待ち合わせ時間から1時間も早く待っていたことをタバコの吸い殻の数からばれそうになったときに「一度に5本吸ったんだ」とごまかしたり、普段キツイくらいの性格なのに病気で弱ったときには彼氏に思いっきり甘えてみたり(で、後で思いっきり後悔したり)、そんなギャップが可愛らしく思えて仕方がないんです。う〜む、これもある意味『萌え』になるのかな?
 その伊藤さんの年下の彼氏である笹野君がまた実に良い奴で、この二人のやりとりを見ていると、ニヤリングが止まりません。作者は後書きに今後も気が向いた時に『伊藤さん』シリーズをWebに描いてみたいと書いていますが、ぜひともこれからも描き続けて、できることなら『伊藤さん』シリーズpart2も発売していただきたいものです。

『つめたく、あまい。』 2010/07/30
 『つめたく、あまい。』はシギサワカヤの短編集。
 シギサワカヤというマンガ家についてはまったく知らなかったのですが、何故かAmazonの『おすすめ商品』に良く登場してきて、その絵柄がなんだかやけに気にはなっていました。
 というわけで、たまたま見つけたこの本を買ってみたのですが、中身は作者が同人誌で発表した作品が主となる(12作品中7作品)短編集でした....が、しかし、これがつまらなかったかといえば、これが私の好みの秘孔を突きまくってくれるものばかりでした。
 『世界の果てで待ち合わせ』のような重い作品も無くはないのですが、全体的にはニヤリングが止まらない作品の方が多くて...特に素直じゃない女の人がふと見せる尋常じゃ無いかわいらしさときたら、いやぁ、もうこれだけで御飯3杯はいけます。
 まさに『つめたく、あまい。』というタイトルどおりですね。
 でも、この人の作品って表紙がレジに持って行きづらいものが多いんだよなぁ......いや、私は平気ですけれどね(^^:)。

『囮物語(なでこメデューサ)』 2011/07/02
 『囮物語(なでこメデューサ)』読了。
 感想は一言で言うと『驚愕』です。
 これまで、その可愛らしさ(特にTVアニメ版における)故にネタ的な意味で『ラスボス』と言われていた撫子が、本当の意味でラスボスになってしまうとは...いやぁ、これはまったく予想つきませんでした。
 何故小学2年の頃に少し遊んだだけの暦お兄ちゃんを中学生になるまでずっと思い続けていることができたのか、何故一人称が中学生になっても『撫子』なのか...まぁこういったことはマンガやアニメでは良くあることなんで、そんなキャラなんだろうと納得してしまいそうになりますが、普通の感覚で考えれば、これは十分普通じゃありませんよね。
 そんな撫子のこれまで(おそらく意図的に)隠されていたダークサイドを『囮物語』では、これでもかってくらいにえぐり出してきます。以前の作品で撫子が「夏休みの宿題なんてやらなくても、ごめんなさいって謝れば大丈夫」というような事を言ってましたが、そのときは冗談のひとつぐらいだろうくらいに笑ってすませていたんですが、そうじゃなかったんですね。そんな撫子の弱さが逆に撫子をラスボスへと変えていく様はなんとも辛いものがあります。
 作者曰く『化物語』第2期にあたる『猫物語(白)』以降の作品では『化物語』では語られなかったヒロイン達(『猫物語(白)』では羽川翼、『花物語』では神原駿河)の隠された内面や歪みがこれでもかってくらいに描かれていますが、衝撃度から言えば『囮物語』が最強です。なんたってラスボスになっちゃうんですからねぇ...まさにタイトルそのものの...
 物語の決着は次の次の作品である『恋物語(ひたぎエンド)まで持ち越しとなりますが、悲劇的な結末は無いものと確信しています。なんたって、暦お兄ちゃん(阿良々木君)は『誰でも助けちゃう人』であり、それこそが『化物語』シリーズの根幹をなすものなのですから...
 とはいえ、阿良々木兄妹の関係はちょっと...いや、かなり問題ありかと...(^^:)。シスコンということでは暦君は某『俺妹』兄を超越するかもしれません。
 われらが女王ひたぎ様は最後の方にほんのちょっぴりしか登場しませんが、それでも、そのわずかの間に一番美味しいところを持って行ってしまうあたりは、さすがは『化物語』メイン・ヒロインだけはあります。
 それにしても、忍野扇とはいったい何者なんでしょう?ここ最近の物語は彼女(時には彼のときも)がトリガーになっている部分が多いし、特に『囮物語』で撫子をラスボスにしてしまったのは忍野扇の仕業であるといっても過言ではありません。もしかしたら、本当のラスボスはこの忍野扇という存在なのかもしれませんね。

『ココロコネクト』 2011/10/13
 最近読んだラノベの中では庵田定夏の『ココロコネクト ヒトランダム』と『ココロコネクト キズランダム』の『ココロネクスト』シリーズ2冊が楽しめました。
 高校1年生の男子2人女子3人からなる『文化研究部』の面々が『ヒトランダム』では『人格入れ替わり』、『キズランダム』では『欲望解放』という異常事態に巻き込まれるという、ある意味ラノベらしいストーリーなんですが、高校生男女の心模様を描いた甘酸っぱくてほろ苦い青春小説としても楽しめる作品となっています。シリーズ通しての謳い文句は『愛と青春の五角形(ペンタゴン)コメディ』。
 もちろん、イラストを描いている白身魚なる人物が京都アニメーションで『らき☆すた』や『けいおん!』のキャラクターデザインを手がけた堀口悠紀子だというのも大きなプラス要素であることは否定できません。
 このシリーズはまだ続きがあるようなので、とりあえず『カラコンダム』と『ミチランダム』の2冊をAmazonでポチってみました。
 ところで、作者のペンネームである庵田定夏はプロレスラーの名前が由来になっているとのことですが、元ネタは米国WWEのプロレスラー『ジ・アンダーテイカー』なんですね。


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