かきました
わたしの書いたものがたりです

 月のあかりが薄青く街をそめている夜。
 桜の花がきれいな公園で、ぼんやりと川を
ながめている少女がいました。

 少女は、三日前に小学校を卒業したばかりでした。
 けれど、少女はその時風邪をひいていて、
卒業式に出ることはできませんでした。

 少女は、川に石を投げながら、小さな声で歌を
口ずさんでいました。
 その歌は、卒業式の時に歌うはずの歌でした。
 卒業式に歌うため、友達と何回も練習した歌・・・。
 少女は、何だか自分だけ卒業していないような
気持ちになりました。
 「歌いたかったなあ、みんなと一緒に」
 そう思うと、少女はまた歌い始めました。
 少女の歌声に合わせるかのように、風はそよぎ、
その風に乗って、桜の花びらが舞い上がっています。
 まるで、粉雪が舞うかのように。

 気がつくと、少女の学校の友達が、まわりに集まってきて
同じように歌っています。
 「あれ、みんな、どうしてここへ?」
 すると、友達の一人が、
 「だって、ここにいるって手紙がきたから」
と言い、桜色の手紙を少女の前に差し出しました。
 そして、少女を取り囲むと、口々に言いました。
 「卒業式をやろうよ、みんなで」
 少女は、うれしくて、泣きそうになりながら、
 「うん」
とうなずきました。

 月のあかりに照らされた桜の花が、淡い光を
放ちながら舞う公園の夜。
 少女の卒業式は始まったばかりです。


ものがたりのページに戻ります

ホームページに戻ります