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みなさんは、どうして海の水がしょっぱいか知っていますか?
それに、みなさんは、月が一つしかないと思っているでしょう。
しかし、その昔、月と同じ大きさの星がもう一つ、
地球の周りを回っていたのです。
その星の名は「アクア」。
でも、この星は、地球から見ることはできません。
だって、もうなくなっているはずですから・・・。
そう言うと、みなさんは「じゃあ、どうしてなくなったの?」と
不思議に思うかもしれません。
ではこれから、なくなってしまったであろう「アクア」の伝説に
ついてお話しましょう。
「アクア」がまだ確実に存在していた頃。
地球上には、海はなく、大地はほとんどが土におおわれていました。
あちこちに点々とある、わずかばかりの水が湧き出るところにだけ、
木々が生え、人々や動物はそのまわりで生活していました。
その頃の人々は、水の大切さをよく知っていましたので、
灼熱の太陽の光から力を合わせて水を守ったり、
水を使うにも無くならないように気をつけたりと、
互いに協力しながら仲良く暮らしていました。
ところが、そんな暮らしが失われる日がやってきたのです。
その年は、雨が全く降りませんでした。
青い空に白い雲はかけらもなく、太陽の光は容赦なく大地を
照りつけていました。
人々は、だんだん湧き出なくなってきた水を分けあって、
渇きをしのいでいましたが、それももう限界に近づいていました。
「どうしよう、このままでは生きていけない」
人々は考えました。
毎日のように集会を開いては、どうしたらいいのか話し合いましたが、
その間にも水は少なくなっていきます。
そんな中、水がなくなることに、苛立ちと危機感を抱き始めた
人々の間に、恐ろしい考えが広まり始めたのです。
「水が無くなり始めているのは、自分たちの生活している
ところだけではないのか。他の水の湧き出ているところは
大丈夫なんじゃないのか」
人々は、他の場所の水を奪い取ろうと考え始めたのでした。
それからというものの、世界中のあちこちで、人々の戦いが
繰り広げられました。
もともと、水が湧き出なくなってきたのは、世界中でいっせいに
起こったことだったので、戦いは一つや二つぐらいではおさまりません。
殺りく、略奪、ありとあらゆることが行われました。
そしてそれは、同じところで生活していた仲間の間でも行われたのです。
人々の中から、信じる気持ちや助け合う気持ちは消えてしまい、
代わりに疑う気持ちや独占する欲が人々の心を占めるように
なってしまいました。
そんな中で、いちばん悲惨だったのは、子供たちとその母親でした。
戦いに勝った人々は、戦いに負けた人々から、自分たちの得た水を
渡したくないという理由で、母親から子供たちを奪い取りました。
母親から連れ去られた子供の泣き声は、二度と聞くことは
ありませんでした。
ある日のこと。
戦いが終わって、負けた人々は、一団になって座らされていました。
そして、勝った人々の長が、子供を引き渡すように言った時、
座らされていた一団の中から、一人の女性が立ち上がって
こう言いました。
「子供たちだけは助けて下さい。何も知らない子供たちをあやめるのは、
子供にとっても、その母親にとっても不幸なことなのですから」
すると、勝った人々の長は冷たく言い返しました。
「それでは水が足りなくなり、みんな生きていけなくなる。
それだけは聞けない」
「では一日待って下さい」
「何をするつもりだ? 子供を連れて逃げる気か?」
「違います。水が手に入るようにするのです」
「そんなことが一日でできると思っているのか?
地面をいくら掘っても水は出ないんだぞ」
「わかっています。でも一日だけ、待ってもらえないでしょうか。
必ず水を手に入れますから」
「まあ一日くらい待ってもいいだろう。その代わり、
水が手に入らなければ、子供たちは奪い取るぞ」
勝った人々の長は、仲間にその母親と子供を一日だけ自由に
するように言うと、水の湧き出ているところへ向かいました。
その夜。
解き放たれた母親は、星空の下で、しっかりと抱いたわが子を
見つめていました。
何も知らない子供は、母親の顔を見つめながら、
にこにこと笑っています。
そして、子供の手は、空に向かって何かをつかまえようと動いています。
母親は、わが子一人すらどうにもできない非力さに悲しみ、
水をどうにかすると言ったものの、実際どうしていいかわからない
自分の非力さに情けなくなって、涙が止まりませんでした。
「雨さえ降ってくれれば・・・」
そう言うと、眼にいっぱいの涙をためた母親は、恨めしげに
空を見上げました。
その時、夜空に、満月くらいの大きさの、ぼんやりとした星が
眼に入ってきたのです。
「あれは・・・」
涙でいっぱいの眼をこらして母親は、その星を見つめました。
その星は、光るわけでなく、でも満月のようにまんまるく、
ゆらゆらと波打つようにしながら、空に浮かんでいます。
「ひょっとして、あの星が、伝え聞いたことのある星かしら・・・」
母親は、空中に、月と同じようにして浮かんでいる、
水だけでできている星の言い伝えを聞いたことがありました。
天空に三つの象徴あり
火の象徴の太陽
土の象徴の月
水の象徴のアクア
人々に関わらず、互いに相容れることなく輝く
「もし、アクアが人々に力を貸してくれたら、子供たちや
母親が救われる・・・」
そう思うと、母親は一心に祈りました。
「私も、わが子もどうなってもいいです。どうか、
世界中の子供たちや母親、いや世界中の人々に力を貸して下さい」
その祈りが通じたかどうかは説明しなくてもわかりますね。
そして、海の水がなぜしょっぱいかも・・・。
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