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本や映像で紹介されている地球の姿は、海の青さと
雲の白さがとてもきれいで、写真などで見た人々は、
その美しさを知っています。
一方、本や映像で紹介されている地上の姿は、
緑が少なくなった大地の空しさと、あちらこちらで争いごとを
している生物の虚しさが際立っていて、写真などで見た人々は、
その醜さもまた知っています。
でも、悲しいことに人々は、ひとときの「分け隔てなき時」を
創り出すことによって、醜さを感動に変えて、美しさだけを
持ちたがるようです。
どんなものに対しても、「分け隔て」を無くしてきたはずの人々が、
どうして「分け隔てなき時」を創り出す必要があるのでしょうか?
他の生き物や草花は、そんなことをしていないのに・・・。
とても悲しい時や、心が寂しい時に、ふだん気づかない景色に
気づいたりするものですが、それがどんな景色か、注意深く見る人々は
少ないようです。
でも、その日の少女は、違っていました。
学校からの帰り道。
少女は、抱きかかえた大きな包みに顔をうずめるようにしながら、
とぼとぼと歩いていました。
包みには、誰かに渡したかったのでしょうか、小さなリボンが一つ、
うれしさを忘れたかのように、寂しそうな彩りを添えています。
風がそよいでいるのに、少女の瞳に映る夕日は、ゆらゆらと
揺れていました。
少女は、歩きながら気づきませんでした。
いつも曲がるはずの道を、曲がっていないことに・・・。
ふと少女が、顔を上げた時、いままで見たこともないような、
大きな木が目の前に枝葉を広げていました。
少女は、木を見た驚きよりも、その木のあまりのきれいさに感動して、
思わず木のほうへ走り出そうとしました。
その時、足元から声が聞こえてきました。
「待って、順番を守って」
えっ、と下を見ると、そこには小さな花を付けた雑草が生えているだけ。
でも、花は少女を見上げて、とても真剣な表情をしています。
少女は、涙を手でふきながら、小さくおじぎをしながら言いました。
「ごめんなさい」
すると、花は、言いすぎたと思ったのでしょうか、さっきまでの表情が
うそのような、可憐な雰囲気を漂わせながら、
「待っていればいいのよ」
と、やさしくささやきました。
少女は、言われるままに、うなずくようにして、包みに顔を
うずめていました。
少女は、頭をなでられているような感触に気づくと、
そっと顔を上げました。
やさしく頭に触れる枝葉。
目の前に大きな木の幹。
一歩も動いていない少女は、不思議な気持ちになりながら、
足元を見ました。
さっきまで生えていた雑草はもういません。
少女は、順番が来たのかな、と思い、そっと木の幹に身体を
預けるようにもたれかかりました。
その瞬間、少女の中にさまざまな風景が広がったのです。
それは、生きとし生けるものの気持ちでした。
光が射し込めば、雨が降れば、風が吹けば、雲が泳げば、
暖かくなれば、水が流れれば・・・。
それこそ、さまざまな風景の中で、喜ぶ生き物がいれば、
隠れてしまう生き物がいて、消えていく生き物がいて・・・。
やがて、それらの風景が一つになったとき、全ての生きとし
生けるものが仲良く、おだやかな表情をして少女を見つめています。
まるで、少女を励ますかのように・・・。
少女は、流れる涙をふくのも忘れて、にこやかに微笑みました。
数日後。
少女は、学校の図書館で、一冊の本を読んでいました。
それは、地球を旅する一本の不思議な木の物語でした。
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