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とある田舎街。
その街中に、小さな駅がぽつんとあります。
昔はたくさんの列車が行きかっていたこの駅も、線路の廃止に伴って、
通る列車も少なくなってしまいました。
列車を利用する人も少なくなって、心なしか駅員さんも寂しそうにしています。
でも、ふだんは寂しいこの駅も、お盆休みの季節を迎えると、都会へ出て
行った若者達が帰ってきて少しにぎやかになるのでした。
お盆休みも終わりに近づいたある日のこと。
薄暗い街路灯がともる街中を、ほろ酔い加減で歩きながら、若者達は、
思い出話に花を咲かせていました。
「あの頃は列車で、この街まで通っていたんだよな」
「ああ、そうだね」
「でも、大変だったなあ。通学時間が長くて」
「みんなの乗る列車も決まっていたし」
「でも、その分、車内でみんなで話ができたからなあ」
「そうそう、列車の中が、何かたまり場のような感じだったね」
「落書きはするし」
「お菓子なんか食べたりして、散らかしちゃったり」
「今思うと、楽しかったな」
「でも、あの列車も廃止になっちゃったからなあ」
そうして歩きながら、駅に着いた時です。
なつかしいエンジン音が、駅の方から響いてきています。
「あれ、何だろう」
若者達が、駅のホームをのぞいてみると、そこにはさっきまで話していた列車が
止まっているではありませんか。
びっくりした若者達は、駅員さんに口々に聞きました。
「あの列車、どうしたの?」
「廃止になったんじゃなかったの?」
すると、駅員さんは、汗だくになった顔をタオルで拭きながら、
「年に一本の列車だよ。やっぱりみんなが帰ってきている時ぐらい走らせなきゃな」
と言うと、にこやかに笑いました。
そばでは、駅長さんがやっぱり笑いながら切符の準備をしています。
若者達は、うれしくて、泣きそうな顔になりながら、
「ありがとう」
と言うと、切符を買い、列車に乗り込みました。
満天の星空の下。
若者達を乗せた列車は、警笛を鳴らすと、錆びた線路を静かに走り出しました。
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