よみました
わたしの読んだものがたりの感想です

「コンタロウのひみつのでんわ」
安房直子 作/田中槇子 絵


 この本は、題名とは比較にならないくらい、安房さんの
作風の持つ寂しさが、これでもかと描かれている物語です。
 登場するのは、おじいさんと、キツネのコンタロウです。
 ところが、どちらもひとりぼっちなのです。
 物語は、コンタロウが、おじいさんのやっているふとん店に
やって来るところから始まります。
 コンタロウは布団を買って、おじいさんはコンタロウの住処まで
布団を持っていくのですが、この布団が変化し、電話をかける
約束をしたところから、安房さんの寂しさは、じわじわ心に
沁みてくるようになります。
 物語自体は、コンタロウとおじいさんと、ふたりでいかにも
楽しそうな場面が連続するのですが、楽しそうな中に、ふと
寂しさの影を描いていて、かえって影のある情景を見せています。
 田中さんの絵は、楽しそうな場面を描いているのが多く、
素朴さがあるだけに、安房さんの物語が強烈に迫ってきます。
 安房さんの作風がダイレクトに味わえる傑作だと思います。


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