よみました
わたしの読んだものがたりの感想です

「迷路の森の盗賊」
瀬尾七重・作/榛葉莟子・絵


 瀬尾七重さんの作風は、どこかとらえどころのないような、
どう表現していいのか分からない雰囲気を持っていますが、
この物語は、その作風がはっきり出ていて、なんとも不思議な
世界を作り出しています。
 町に行きたいがために、花畑で花を育てる生活を捨てた若者が
迷路の森と呼ばれている盗賊のすみかを通っている最中に、
別の盗賊に襲われて、盗賊のすみかに逃げ込んで、盗賊になって
しまうところから物語は始まります。
 盗賊といっても、どんなことをしていたかまでは詳しく書いて
いません、このあたりは瀬尾七重さんらしいところで、余分な
ことは一切書かれていないのです。
 榛葉さんの絵は、どちらかというと寂寥感があるのですが、
よく分からない世界を、そのまま手付かずにしていて、かえって
物語を謎に包んでいきます。
 最後の方にきて、やっと少し謎めいた感じが薄れるのですが、
薄れたところで物語は終わってしまいます。
 読み手によって、どうにでも解釈できるし考えることのできる
物語で、さらりとした感じの中で、花の色があざやかに思える
傑作です。


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