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「さくらの花でんしゃ」
瀬尾七重・作/新野めぐみ・絵
瀬尾七重さんの描かれる世界や光景を存分に
楽しむことのできる傑作です。
物語は、いたってシンプルな作りで、登場する人物も
ふたり、もしかするとひとりなのかもしれません。
でも、老いた桜の木とともに紡がれる世界は、とても
広くて、リズム感があっておもしろいです。
新野めぐみさんの絵も、物語にあわせるかのように、
描かれていて、それが効果的に本の中の世界を見せて
くれているので、心地よいリズム感があると思います。
孫娘が外国に行ってしまったおばあちゃんと、
老いた桜の木とで織り成す物語は、何事もないように、
静かです。
そこに桜の木の妖精が現われると、一転して、
躍動感あふれる雰囲気を見せるのですが、それでも
静かな感じも持っています。
ラストシーンまで、そのまま静かなままなのですが、
これがかえって寂しい感じを、より鮮やかに映し出して
いると思います。
どこか生活の一風景を切り取ったような物語なので、
それゆえに親近感のある、すてきな物語だと思います。
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