「制服がないの・・・」
「おはよう」
いつもと変わらない朝の風景ですが、白衣の博士はふと娘が出勤していないことに
気づきました。
「あれ? まだ来ていないの?」
ロングヘアの男は答えました。
「ええ、まだのようですね」
「おかしいわね、遅刻するような子じゃあないのに」
そこに、ふわあんとビールの香りとともに、作戦部の女が現れました。
「あーあ、久々の二日酔いでつらいわ」
その一言に、周囲の人たちは驚きました。
(二日酔いぃぃぃいい? 信じられないこともあるんだなあ)
博士は、もしやと思ってたずねました。
「どこから出勤してきた?」
「えーっと、ごめん」
作戦部の女は、飲みすぎて家を間違えて、娘のところに泊まったと言いました。
それを聞くなり、博士は、猛ダッシュで娘の家に向かいました。
ドアのチャイムを鳴らしても返事はありません。
「いるんでしょ、入るわよ」
博士は、ドアのノブに手をかけました。
「カギもかかっていないのね」
部屋に入った博士は、驚きました。
そこらじゅうに、ビールの空缶が散乱していたからです。
「うっ、お酒のにおいが・・・」
ふと、耳に入ってくる、泣き声。
「ベッドルームからだわ」
博士は、ベッドルームのドアを開けました。
そこには、白い下着姿で泣いている娘の姿がありました。
「どうしたの?」
「・・・着ていく制服がないんです・・・」
「なんで? 洗濯はしなかったの?」
「・・・しました、だけど・・・」
そう言いながら、娘は、ワードローブを指差しました。
先輩は、ワードローブを見ると、そこにもビールの空缶が散乱しています。
「ははあ、二日酔いで、家間違えたもんだから、あっちこっち荒らしたな」
作戦部の女をようく知っている先輩は、こともなげに言いましたが、娘は、泣き
じゃくるばかりです。
「ちゃんと片づけしていたのに・・・」
「ね、とりあえず、お酒のにおいを外に出しましょ、それから片づけ、ね」
「でも、着るものもないし・・・」
先輩は、そう言うと、窓をがらりと開けました。
と同時に、娘にお布団をかぶせると、自分もいっしょに中に潜り込みました。
「これだったら、見えないでしょ?」
娘は、安心しきっちゃったのか、先輩にもたれかかっています。
「もう、甘えん坊さんね」
先輩は、くすっと笑いながら、娘の寝顔を見ていました。
そして、つぶやくように言いました。
「見ていなさい、次の使徒は技術部だけで倒してみせるから」
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