「コインランドリーで洗濯するなら・・・」



  「あら、あなたも?」
  「せ、先輩もですか?」
  先輩の声に、あわてふためきながら娘は読んでいた雑誌を閉じました。

  久しぶりの休日。
  娘は、コインランドリーで洗濯をしていました。
  洗濯物を抱えてきた先輩は、お金を入れようと、財布を探していました。
  が、財布を忘れたようで、先輩は、困った顔で言いました。
  「わたしってドジね、お財布忘れてきちゃったわ」
  「お金、忘れちゃったのですか?  先輩も失敗すること、あるんですね」
  くすっと笑う娘。
  その姿を見て、先輩は、ちょっといじわるしてみようかしらと思ったようです。
  「悪いけど、一緒に洗濯しちゃっていいかしら?」
  「え?  わたしのとですか?」
  「そうよ、いいでしょ、お願いだから」
  「あ、あの、ちょっと・・・」
  娘が止めようとする前に、先輩は自分の衣服を、娘の洗濯機に入れてしまいました。
  「ごめんね、お金は明日にでも払うから、ね」
  「・・・不潔よ」
  不機嫌そうに、小声で言う娘を見て、先輩はさらに言いました。
  「洗濯物は、これで全部なの?」
  「ええ、そうです」
  「あら、そうかしら?」
  「だって制服はクリーニングですし、あとは・・・」
  「洗濯できるときにしておかないと、なかなかできないわよ」
  そう言うと、先輩は娘に、自分の着ていた白衣をかけました。
  「・・・・・」
  娘の手から、はらりと雑誌が床に落ちました。

  「乾いたわよ、はい」
  娘は、先輩から衣服を渡してもらうと、ごそごそと白衣の下で着はじめました。
  「ちゃんとあったじゃない、洗濯物が・・・不潔にしちゃだめなんでしょ」
  「・・・先輩のいじわる・・・」
  洗濯物を選り分ける先輩に、娘は、はずかしそうに言いました。

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