「端末の前で・・・」



  コンピュータと端末がぎっしりの部屋で、その娘は仕事を
しています。
  「さすがね」
  「先輩の直伝ですから」
  キーをたたく指がしなやかに、かろやかに動いています。
  すると、先輩の声。
  「ちょっと待って」
  「え?」
  娘は、画面を食い入るように見ています。
  靴の音・・・
  耳元で聞こえる先輩の声。
  「ここは・・・」
  娘の指が、キーの上で震えていたかと思うと、だんだんと
力無く、キーの上を滑り落ちています。
  「・・・」
  いままで集中して緊張してこわばっていた娘の身体から
力が抜けて、吐息が長くなっています。

  きゅうに娘は、画面の色が変わったことに気づいて我に
かえりました。
  キーをたたく指が、なんだか軽くなったような気がします。
  「・・・さすが先輩」
  「だいぶ我慢していたのね」
  先輩は、指をならしながら自分の席に戻りました。

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