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メガネくんに似合うスポーツ


 本来メガネくんといえば、運動音痴というのが常識である。色白で線が細く、読書や勉強などおよそ爽やかな汗とは正反対の世界に生きる、それがメガネ くんの宿命なのである。スポーツ選手を例にとればわかるように、彼らのメガネはそれはそれで味があるとはいえ、筋肉を鍛え、スポーツに汗を流す姿は既にメガネくんではないのである。(少なくとも、私はそう信じている)
しかし、ただ一つだけ、メガネくんに似合うスポーツがあることを発見した。

メガネくんに似合うスポーツ、それは卓球である。

 事の始まりは、ひょんなことから私が卓球部の顧問になったことであった。
もともと運動音痴の私は、指導できる部活もなく、たまたま人手不足であった卓球部の顧問を命ぜられた。まぁこれくらいの運動なら何とかできるだろう、と軽い気持ちで希望したのだ。この学校の卓球部はもともと部員が少なく、また見知った生徒ばかりなので、地味なスポーツだなぁ、といった印象しかその時にはなかった。

 そんなある日、地区大会の引率を任された。部員を連れて会場の体育館へ入った私の目にまず飛び込んできたのは、一面に並んだ卓球台と、そこで練習に励む各校の卓球部員であった。
もともとうちの部は弱小で、ユルい練習しかしていなかったのだが、そこで繰り広げられていたのは、迫力満点、まさにスポーツとしての卓球であった。しかしそれ以上に私の目を釘付けにして離さなかったのは、
驚くばかりのメガネくんの多さであった。
しかも、卓球のユニフォームというのが、ポロシャツ風の半袖に短パン。運動をしているせいか、皆痩せているタイプが多く、また地区予選ということで、いかにもなマッチョは少ない。室内スポーツということで、みんな肌は真っ白である。
おそらく、メガネをしていても支障ないスポーツだからであろう、皆コンタクトにせず、きっちりメガネをかけている。その上、試合中にメガネがずれると、きちんと指で直すのである。
私は、自分のところの生徒そっちのけで、メガネくんウォッチングにいそしんだ。お気に入りのメガネくんの試合は、観戦のフリをしてしっかりそのメガネっぷりを脳裏に焼き付けたのだった。

 この卓球というスポーツは、基本的に地道に打ち合い、たまに激しくスマッシュを決めたりする。もちろん打つコースを変えて相手を翻弄したりもする。まぁスポーツとしては基本なのかもしれないが、そのチマチマとした細かさ、豹変のしかた、計算高さ、どちらかというと体力プレーより技術プレー、といった感じが何だかとってもメガネくん的なのである。だからこそ、メガネくんが集うスポーツなのかもしれない。実際、この大会では、進学校とされる学校(もちろんメガネ率が高い)で好成績を収めたところが多かった。

 スポーツマンとメガネくん、その一見ミスマッチな取り合わせの中で、卓球は例外である。細身色白が似合い、無口で地味でけっこう熱く、今イチメジャーになりきれないあたり十分メガネくんにお似合いである。(そういえば、かけていたメガネはみな銀縁か縁ナシであった)
来年もまた、卓球部の顧問を希望しようかと思っている。
ビバ卓球!!!