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メガネ遍歴


 私がメガネくんを初めて「イイなっ!」と思うようになったのは、 小学生の頃だった(自分で思い出してびっくりした)。しかも3〜4年の頃だったように思う。 その頃の年代のガキとゆーと、排他的集団主義と疑似恋愛のことしか頭にない割にお受験主義にも当時それほど毒されていなかったためか、 毎日放課後用もなく教室にたむろっていた。私も「これがムラ社会ってものなのね」と悟った態度で参加していたように思う。
 そんな或る日のこと、誰かが「好きな人ベスト3を挙げよう」と言い出した。私は「別に好きな人なんていない上に何で3人も挙げなきゃいけないんだ」と 思ったが、既にまわりは盛り上がっていたので傍観を決め込むことにした。
 一人、また一人と名前が黒板に書かれていく。その多くを占めるのは、明るく、冗談を言うことも多く、スポーツも勉強もソツなくこなす、いわゆるクラスのリーダー的存在な奴であった。 その名が挙がるたびに周囲から同意の声が上がった。
 「**は誰がいいと思う?」ついに、私に矛先が向いた。
「別に好きな人いないし・・・」この頃から、協調性のなさがうかがえる。
 しかし、集団主義はそれを許さない。いわれのない執拗な追及にあい、誰でもいいから名前を挙げざるを得なくなってしまった。 しかしその頃からひねくれ者だった私は、今さら人気者の名前を挙げるわけにもいかない。
 「誰にしようか・・・」その時、脳裏に浮かんだのが、決して嫌われ者ではなかったのだが、「ちょっとヘン」な奴扱いされている、 メガネくん”S”であった。別に好きでもなんでもなかったのだが、妙に印象深い奴だったのだ。
 「S、かなぁ・・」
 その瞬間、周囲がひいていくのが、当時の自分でもはっきりとよくわかった。そして直後からブーイング。 「なぜ人の好みに文句を言われなきゃならないんだろう」と理不尽さを感じつつ、特にそれ以上ツッコまれなかったので、 最近まで本当に忘れていた事実であった。

 次に思い出されるメガネくんというと、中3の頃である。世の中の「メガネくんマニア」の方々は、大体がマンガやアニメ等「この作品でハマった!」というのが 多いらしいのだが、私自身を振り返ってみると、マンガやアニメはそこそこ見ていたものの、明確なソレが思い当たらない。 どうやら私は、上記の例も含めて、身近な「3次元メガネくん」からハマっていったようである。しかも当時から、恋愛感情と一線を画した「鑑賞対象」として。
 その頃の私は、音楽雑誌のグラビアなどで、同じ人物でもメガネをかけた方が数倍かっこよくなることに気づき始めていた。 そんな私が密かにチェックを入れていたのが同じクラスの、今で言うなら「色白、おとなしめ、美少年顔」メガネくんであった。 私はメガネくんマニアであると同時に「白シャツ及びそこから覗く腕」マニアなので、夏は特に堪能させていただいた。 ちょっと性格は暗めで会話もほとんどしたことないので、きっと向こうは自分のことなんか覚えていないだろう、と思いながら、たまにある同窓会のたびに再チェックさせていただいている。

 高校は女子校だったもので、あまりいい出会いに恵まれなかった。教師も年寄りばかりだし。(けっこう閾値の下がった今では、それでもけっこうきてたかもしれない) ただ、高3の時通った某理数系専門予備校Sで、素晴らしい講師がいたのだ。東大卒で数学を教えていたK氏は、朴訥系で丸眼鏡の似合うメガネくんであった。(くん、と言うには年上だが・・) しかも、普段無口で余計なことをしゃべらないあたりも、私のツボをぐいぐいと刺激した。私は毎回最前列でたっぷりそのメガネっぷりを堪能し、 クラス替えでその講師ではなくなってしまうと、わざわざ曜日をかえてまでついていった。しかしシャイな自分は、最後の講義の日の提出プリントに 「ずっと先生のファンでした」としか書けなかったのであった。他の生徒はプレゼントとかあげてたのによぅ。

 大学進学以降は、既に自分のメガネフェチっぷりを自覚し、陰でこっそりと鑑賞して楽しむ日々であった。またこの頃から、友人や所属サークルを中心に、 「人類”眼鏡”補完計画」がスタートする。当時は、まだ大っぴらに「メガネ好きなんです〜」とは言えなかったので、酒に酔った時などを利用して、 非メガネくんに他所から借りたメガネをかけさせるのだ。この頃からメガネに対する閾値は下がり始めていて、たいがいメガネをかければオッケーになるので、 そこで「すっごく似合うよ〜、うん、メガネの方が絶対かっこいい」とほめちぎる。うまくいくと、メガネを購入してくれたり、メガネ着用率を上げてくれるので、いい感じであった。
 また、この頃からメガネくんコレクションとして、メガネくん及び非メガネくんのメガネ着用時の写真を集め始める。

 そして現在。職場で(女性だけの時ではあるが)「メガネ好きなんです〜」と言えるようになった。しかし、「そうなんだ〜」と理解はされても、「私もなの〜」という共感は得られない。
 再び高校に舞い戻って、相変わらず制服のメガネくんはいい感じだ。しかしそれ以上に、同僚の数学教師がベリーナイスだ。何たって、「色白、キツネ目、三揃いスーツ、ニヤリ系性格」 である。当分この生活を満喫したいので、このページのことは学校関係者には絶対に明かせない。