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(平成10年9月第54号6〜7pより) ![]() 花嫁衣装、女の子誰もが一度は憧れる。花嫁衣装といっても洋装のウェディングドレス、和装の着物とある。私もいつかは着てみたいと思う。でも、その前に…。 車椅子でウェディングドレスを着ているのは、テレビなどで見ることがある。やっぱり見る度にきれいでうらやましいなあと思う。そういえばこのように洋装は見ることはあるが、和装での花嫁衣装は、テレビとかでも覚えている限り見たことがない。やはり普通立って着るものを、座ることしかできない私達みたいな障害者に着せるのは、難しいのだろうか。私は、着物というものを着たことがないが、きっと着せる方も着せられる方も大変なんだろうなあと思う。 そんな矢先に、知人からある写真を見せられた。その写真には、車椅子の知人が和装の花嫁衣装姿で男の人と写っているではないか。「えっ結婚したの?」と驚く私に、彼女は、車椅子で着られる着物ショーにモデルとして出演したと言う。モデルを務めたというのもすごいと思ったが、その写真で初めて車椅子での和装の花嫁衣装を見てすごく興味を持った。 それから車椅子で着られる着物ショーのビデオを入手した。ビデオには、花嫁衣装以外に着物やはかまなどが、いろいろと工夫されていて目を見張るものがあった。
このように車椅子でも着られるようにと工夫されているが、写真を見ても分かるように見た目は普通の花嫁衣装と全然変わらない。 そんな花嫁衣装や着物、はかまなどを考え作ったのは、熊本市にある「みちこの和裁教室」の山崎美智子さん( )で、自らも車椅子に乗っている障害者だ。今回彼女にいろいろと話を聞くことができた。 和裁を始める小さい頃から彼女には、花嫁衣装を自分で縫ってみたいという思いがあった。それが高校になり、当時は、職業選択するにもあまりない中で、成り行きで和裁を選んだと彼女は言う。それから五年間、彼女は修業し、それなりに苦労も多かったようだ。 着物を作ったきっかけ彼女には、和裁という仕事に携わっていながらも、自分が着られる着物がなかった。また、障害者が「和服」は着られないとあきらめている人が多いという現実に直面したことが、このような着物を考えるきっかけとなる。 普通の着物との違い車椅子用として二部式の着物を工夫している。普通二部式の下衣は、歩く時の足幅のために裾は少し広がるようなまきスカート風。一方、車椅子用になると歩く足幅もいらなく、逆に足が広がらないようにとタイトスカートの変形のようなもので、輪になっているのが特徴。 帯は、車椅子に乗っていると後ろの帯が見えないために、車椅子の背もたれにつけられるようなものもある。最初は、背もたれにと思ったが、実物をビデオで見たところ違和感はあまりなかった。また車椅子の移動時に袖が絡んだり、汚れたりするので、「着物用袖カバー」を作っている。 この着物を作るに当たって、彼女が一番苦労したところは、車椅子に乗っているから特別目立つ着物を作るのではなく、着物らしい着物に仕上げるところ。着やすさ、着せやすさを追求していくうちどんどん「和服」から離れていってしまうので今も一番の課題である。 着物を試着その着物をお借りして、私はどんな感じなのか試着してみた。 試着前は、やっぱり着物は着にくいのではないかとちょっと不安。なぜなら私の身体は、病気で変形しているからだ。そんな私に彼女は、「フワッと着物を羽織って着るので体型も隠れるし、着物はその人に合わせて手縫いするので大丈夫ですよ」と言ってくれた。 そしていざ着てみたところ、そんな不安もどこ吹く風で上衣も下衣も簡単に着ることができた。上衣の袖は通しやすく、また下衣はスカートをはく感覚で着られたので、着せてくれた看護婦さんも着せやすいと絶賛。着てみた感じは、帯はなかったもののとても楽で、周りの人に着物姿が「なかなか似合うよ」と言われ嬉しかった。 初めて着物を着てちょっと照れくさかったけど、やっぱり着物とあって背筋がシャンとなるような感じがあった。こんな簡単に私でも着物が着られたので、いろんな方が着られると思う。是非一度車椅子の方も着物を着てみてほしい。ちなみに私は、また着てみたいと思っている。 ![]() 着心地いい着物 これからの目標・夢彼女のこれからの目標、夢を語ってもらった。「私も含めて、気軽に着物を洋服を選ぶのと同じように着たいですね。日本伝統の着物が、私達が着ることで和服人口が増えると良いですね。みんなが着れる着物≠ツたない私の夢でもあります」と。これからも誰にでも着られる着物を作っていってほしいと思う。 (波留子)
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