うたせ船

うたせ船 巻き網

 紺青の不知火海を真白い帆を一杯にふくらませてうたせ船が滑っていく。遠くから見ると白いドレスでおしゃれをした海の貴婦人のように優雅なうたせ船は不知火海のシンボルです。
 大きな四本のマスト、前後に突き出した二本の竹を張った大小九つの帆に風をはらませ、潮の流れに身をまかせて、のんびりと大きな不知火海を見る。エンジンの音もしない。
 海の底に入れた網に仕掛けがあり、袋状になった七つの袋網で海の底の獲物を引き揚げる伝統の底引き網漁です。
 明治の初期からこの地方で始まったうたせ網漁の期限は瀬戸内海の「芸洲流し」といわれています。芸洲(広島)の漁法が漁民交流の結果、この地に定着しました。なるほど、波静かな内海でないと不可能な漁法です。
 母港は佐敷湾内の計石港。計石港は慶応二年にオランダ船が寄港した記録も残る昔からの海の要地。
 今ここに二十数隻の打たせ船が活躍しています。晴れた日、二十隻あまりのうたせ船が不知火海にゆたう姿は、自然に逆らわない暮らしと海の原風景そのものの絵巻を見る思いです。

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