〈喘息とお線香〉

●喘息とお線香
〈線香やロウソクの煙と匂い対策について〉
(5.31/06〜6.6/06)

 私の母は重度喘息のくせに毎日、ロウソクを灯し線香を炊きます。仏教信者なのです。私がごく小さいときからですから、もう40年以上も続けています。
 その母が喘息になったのは確か彼女が40歳前後だったと思います。当初はそれほど重くはなかったのでロウソクも線香もそれほど気にならなかったようですが、症状が重くなってくると発作が誘引されてくるので困りはじめました。
 やがて何度も入院するようになってからは、煙や匂いの少ない線香を探すようになり、そういう線香を使うようになりました。どんなものなのだろうかと私も好奇心から炊いてみましたが、確かに煙と匂いはあまり出ませんでした。
 それでも煙や匂いが完全になくなるわけではなく、母はときどき咳き込んだりヒューヒューと喘鳴を起こしながらお経を上げ続けるのでした。そうすることによって功徳を得て喘息を治したいと彼女は思っているようでした。現世利益などは釈迦は少しも言っていないのに、日本仏教はその点、日本人好みに現世利益を説いて信者を集めました(→宗教に関する余談。母の宗旨の指導者は「もっと信心して喘息を治しなさい」と言っていました。そこまでしてお経を上げても、かえって喘息が重くなるだけなのにと思って私は母の信心を危なっかしく見ていたものです。
 その後、私は実家から離れてしまったため線香等のことは記憶から薄れていました。何人かの葬儀に出席しましたが、いずれのときも喘息がまずまずコントロールできていた時期だったので、線香やロウソクの煙や匂いが気になるということはありませんでした。
 しかし、葬儀に出席してロウソクの煙と線香と匂いや煙に難渋したというメールが読者から届き、それまで忘れていたロウソクや線香のことを思い出し、なるほど喘息患者にとってこれは大敵だなとあらためて思いました。
 その読者は「喘息VOICE」の「患者を裏切らないで!」(4.13/01)、「カラアゲが苦しい!」(6.16/01)エムさんです。エムさんは昨年、お母様を亡くされ、その葬儀でロウソクと線香の間近に座り続けました。かなり重度の患者さんなので、さぞ辛かったことでしょう。
 この体験からエムさんは、喘息患者が葬儀に出席する際の注意点を提示してくださっています。そのメール内容を紹介しましょう。


 喘息さんにとって大変困るのは葬儀関係の状況がとても発作につながりやすいということだと思うのですが、私の経験から得たことをいくつか書きますね。
(1)自分自身の空気の入れ替えをこまめにする
 葬儀場という場の性質上、線香の煙や匂いがどうしてもこもってしまいます。
 近親者の葬儀の場合だと、ほぼ葬儀場に張り付かなければいけない状況になってしまいますが、その状況だと、かなりの確率で発作を誘発してしまうと思います(実際、私自身もそうでしたが)
 そんな状況だからこそ、自分自身の空気の入れ替えをしっかりと心がけたほうがよいと思います。部屋から出るだけではなくて、建物自体からときどき外に出て自分自身の換気をすることが大事です。
 自分自身の体調をしっかり保てないと最後のお見送りができなくなってしまったりすることもありますので、周囲に遠慮したりせずに、ときどき抜け出したほうがよいと思います。

(2)お線香は煙や匂いの少ないものを選ぶ
 線香の煙って、どうしても発作を誘発してしまうんですよね。
 そこで、いろいろ試した結果、私にとって一番良かったのは「花げしき 備長炭」というお線香でした。
 興味のある方はネットで紹介されていますので一度ご覧になってみてください。→クリック
 現代の住宅環境に合わせ、煙をごくごく微量に抑えたタイプの線香です。さらに備長炭、活性炭と消臭剤を配合してあるので線香特有の匂いも抑えられています。備長炭は通気性、吸着性があり弱アルカリ性の特性があるといわれているので、そのへんの効果も期待できるのかもしれません。
 実際に使ってみると、着火時には若干刺激はあるのですが、部屋に匂いが残りにくいので、かなり発作を減らすことができました。
 人によって個人差はあると思うのですが、「まし」なものを探すとよいと思います。
 本当は葬儀の段階から線香を替えてもらうことができればベストなのでしょうけれど。

(3)ロウソクは、蝋を使った製品を選ぶ
 意外だったのが、ロウソクを消すときに、けっこう気管支が刺激されるということでした。
 いろいろなメーカーからロウソクが発売されていますが、最近では、蝋ではないものを使ったロウソクが売られているようです。
 私も最初、そういうものを使っていたのですが、蝋で作られたロウソクのほうが消火時の刺激が少なくて済むことに気づきました。
 人生の中で近親者を送ることはそんなに多くはないとは思いますが、とても大事な時間だから、なるべく発作を起こさずに、納得の行く形でのお見送りをしたいと誰もが思うのではないかと思います。
 そんなときに、完全には発作を避けがたいにしても、少しでも増悪を防ぐための参考になればと思い、メールをしました。


 非常に参考になる情報です。線香のことも参考になりましたが、ロウソクは盲点でした。確かに、火を消すときのあの匂いはたまらないものがあります。バースデーケーキのロウソクでも同じですので、ロウソク全般に気をつけたほうがいいですね。
 ロウソクで思い出しましたが、タバコの煙も迷惑です。消したときの匂いもロウソクと同様、いやそれ以上に嫌なものです。
 私は今、タクシー運転手をしているので、お客さんにタバコを吸われる機会がたくさんあります。ひとりのお客さんが吸うだけでもその匂いが車内にこもって迷惑しますが、数人で乗ってきて全員で吸いはじめることもあり、そんなときは車内がアッという間に煙で充満してこっちは息苦しくなってきます。
 禁煙場所が増えた今はタバコを吸う方にとってタクシーに乗るときくらいが安心して吸える貴重なひとときなのでしょう。そう思うので、迷惑とは思いつつ我慢していますが、しかし数人で一斉に吸うのはやめてほしい。あれはいくら何でもひどすぎます。
 それはともかく、エムさん、ありがとうございました。お母様のご冥福を心からお祈りいたします。
 エムさんからのこのメールをいただいたのは何と昨年のことで、なかなか紹介できず今日まで来てしまいました。その間、先般のGWに私の女房の祖母がなくなり、さらにはその直後に以下のようなメールが読者から届き、ロウソクと線香に関する情報を少しでも早く紹介しなくてはならないと思うようになりました。
 そのメールというのは、「喘息TOPICS」の「自分に合った吸ステを!」(10.29/05)で紹介したいっちゃんさんからのものです。紹介しましょう。


 私は一昨年、1週間違いで実父と義母を亡くしました。その葬儀の際は焼香の煙で発作を起こし大変でした。お参りに行くだけなら少し息を止めればよいのですが、喪主ともなると最前線で浴びるのですから。
 人間が死ぬってことは大変ですよね。生まれてくるときはまだしも人の命の偉大さや人間関係の難しさをひしひしと感じるときですね。葬儀が終わるまでのなんと大変なことだったでしょうか。終わっても法事が続きますしね。
 私は都会から田舎に嫁いだ人間ですので、都会の葬儀と田舎の葬儀の2つをほぼ同時に体験しました。私の上司に言わせると「一番簡素な葬儀と一番大変な葬儀だったね」ということです。その後も親戚付き合いとか香典返しとかやっかいなことに振り回された1年でした。今年2つの三回忌の法事を済ませるとほっと一息です。
 そして、喘息の患者にとって葬儀があれだけきついとは思ってもいませんでした。症状が安定していないときだったので、不眠と煙とで大変でした。
 たまたま実家の葬儀は友人の葬儀社だったので「焼香台をなるべく遠い所において」と言うことができましたが、嫁ぎ先の今の我が家のときはそうもいきませんでした。おまけに嫁ぎ先のこちらの風習では四十九日まで毎晩ご詠歌(曹洞宗です)を上げなくてはならないのです。そのとき、線香を炊き続けます。喘息の私にとってはかなり辛い時間です。
 我が家はまだ仏間とリビングが離れているのでまだよいのですが、実家はリビングに仏壇を置かざるを得なかったので大変でした。おまけに実家の母には心配をかけたくなくて喘息であることを伏せていたので、今さら線香は困るとも言えず我慢するしかありませんでした。母からは「もっと近くでお参りしなさい」と叱られるし、喘息患者にとって葬儀はほんと大変ですよね。


 なるほど。喪主ともなると、煙のそばにいなくてはならないというだけでなく、不眠という問題も出てくるのですね。これまた参考になるメールでした。
 いっちゃんさん、ありがとうございました。お父様、お義母様のご冥福を心からお祈りいたします。

 私の喘息は軽度になっていますしアレルギー性の部分も少ないのでそういうことにはあまり注意を払わないできましたが、線香やロウソクの問題は、言われてもみるとなるほど大切なことですね。
 肉親が亡くなったときにそんな心配をしていられものかと考える方もいるかもしれませんが、喘息患者の立場で考えればこれは深刻な問題です。線香の煙で喪主が倒れたらどうなるでしょう。そうならないようにあらかじめ手を打っておくのが努めとも言えます。
 「なるべく発作を起こさずに、納得の行く形でのお見送りをしたい」というエムさんの言葉を忘れないようにしたいと思います。
 私は少し以前、今の主治医に「AICHANさんは環境因子に対して意識がちょっと低いですね」と言われてしまいました。ちょっとショックでした。
 しかし、言われてみれば確かにそうなのです。私の喘息はアレルギー性の面も多少はあるのですが、アレルギーに関してはそれほどでもないため、アレルゲンに対してはあまり注意を払ってきませんでした。それに対して今の主治医は消化器がご専門とはいえご自分がアレルギー体質で喘息でもあるため、アレルギーや喘息に関しては非常に研究熱心で、アレルギー疾患や喘息の患者さんの立場をよく理解して診察をしてくださいます。そういう医師の言葉でしたから、私も深く心にとめました。
 そんなころにエムさんから上のようなメールをいただいたのです。このメールをキッカケに環境因子に関することを書こうと思いつつ、しかし仕事のきつさと体調の悪さが続き、ついにはダウンしたりして、今に至るまで思いを遂げていません。
 最近、思い切って精密な検査を受けるため長期にわたって休暇を取りました。この機会に思いをぶちまけるようにいろいろ書こうと思いました。けれども体調がすぐれずなかなかパソコンに向かえませんでした。こうしてやっと向かっても、なかなか書き進めません。
 そういうわけで、今回は最低限のことを書こうと思い、読者の皆様からいただいたメールを紹介するだけにとどめました。
 せっかく貴重な情報をくださったエムさんにもいっちゃんさんにも、この程度にしかまとめられなかったことをお詫びいたします。

《2006年6月6日追記》
 「喘息TOPICS」の「スピリーバの有用性」で紹介した真さんから、線香とロウソク対策についてメールをいただきました。
 今年2月に真さんもお父様を亡くされ、葬儀等で線香とロウソクの煙や匂いに困った経験をされたそうです。その経験からの線香とロウソク対策に関してアイデアを寄せてくださいました。紹介しましょう。


 「スピリーバー」について取り上げていただいた後、一緒に暮らしていました父を2月に急性疾患で亡くし、葬儀やその後の手続き、法事・納骨等々で慌ただしい日々を過ごし、疲れと季節柄が合わさってやや喘息のコントロール不良と付き合っており、主治医と状態を改善すべく対処法を試していますが、いまだに引きずっております。
 5月31日に紹介されていました「喘息とお線香」で葬儀や法事等で使用されるロウソクや線香について触れられていましたが、私も今回の葬儀・法事等で同じような経験をしました。
 私の場合、最も辛かったのが焼香の煙で、匂いと立ち上る煙で燻されたようになったものです。こんなに凄いのなら他の喘息の方々は大丈夫だろうかと思ったのですがどうなのでしょうか。
 ロウソクや線香は刺激の少ないものをお願いすることができたのですが、焼香は刺激の少ないタイプはないように思えたので、これからも法事があるたびに焼香の煙で悩まされることになるのでしょうね。
 今回、私は、ちょっと辛いときは始まる直前にサルタノール使って何とか逃れました。
 今は毎日、仏壇にロウソクを灯し線香を炊かなくてはなりません。これがまたなかなか辛いものです。
 そこで、対策としては、毎日使う仏壇のロウソクは、途中で消すと匂いが特に強く感じるので10分しかもたない短いものにし、線香はミニサイズで煙も匂いも少ないものを使っています。
 私はこれらを空気清浄機を作動させながら使っています。そうするとかなり良いように思いますよ。


 ロウソクも線香も短いものを使うのはなるほどいいかもしれません。
 意外と気付かないかもしれないのは空気清浄機を使うことですね。私はタバコの煙やホコリには当たり前のように使いますが、線香とロウソクは普段使わないだけに気付きませんでした。
 毎日、仏壇にロウソクを灯し線香を炊く方は試してみてはいかがでしょうか。
 真さん、お父様を亡くされて心身ともに大変なときに貴重なメールをありがとうございました。お父様のご冥福を心からお祈りいたします。


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