〈喘息とは?〉

●喘息とは?

 喘息という病気は、「喘(あえ)」ぐと「息」という字が示すように呼吸が苦しくなる病気です。専門的な定義は知りませんが、要するに気道(気管と気管支)が狭くなってうまく呼吸ができなくなる病気です。場合によっては呼吸困難になって死亡することさえあります。日本ではここ20年以上、毎年4,000人〜7,000人もの人が喘息で亡くなっています(ただし近年は4,000人を割っています。これは吸入ステロイド療法の普及によると見られています)
 喘息になると気道が非常に敏感になり、物理的、精神的な刺激で発作が出るようになります。これは気道に慢性的な炎症があるからです。そのため気道粘膜がむくみ、気道の通り道が狭くなるのです。気道に炎症があると痰が絡みやすくなるため、喘息の人の気道は痰の絡みによっても狭くなっています。気道粘膜がむくめば気道の通り道はさらに狭くなるので、窒息の恐れはさらに大きくなります。実際、喘息で亡くなる方のほとんどは窒息によります。重症化した喘息患者のほとんどは、朦朧(もうろう)とした意識の中でこの窒息死を予感したことがあると思います。
 発作になると、「息が吐けない」「息が吸えない」という状態になります。息を吐けば呼吸はできるものですが、その吐くことさえできなくなるため、吸うことができなくなって窒息することもあります。気道が狭くなっていると、吸った息が吐き出されにくくなって肺の中にたまっていきます。このため肺は膨張し、それ以上息が吸えないという状態になることがあります。これによって窒息することもあるのです。
 ひどい発作が出るようになったり、それほどひどくない発作でも四六時中呼吸が苦しくなると、日常の生活に大きな支障が出てきます。走ることはもちろん、歩くことも満足にできず、仕事や家事を続けていくことが困難になるケースもまれではありません。発作に対する恐怖感が高じて、発作が出そうになるとパニックになる人もいます。
 ひどい発作が出ない人、または発作そのものがあまりない人でも、日常生活に支障が出ます。例えば、ごく軽症の人でも、2階まで息切れなしで駆け上る、100メートルを全力で走りきるなどということは困難です。また、息苦しくなって明け方に目が覚めるといったことも起こります。こんなことは健康な人ではあまり考えられません。
 治療側の人たちはこの発作を「小発作」「中発作」「大発作」とに分けてそれぞれの症状に応じた治療法を示しています。「小発作」は苦しいけれど横になれる状態、「中発作」は苦しくて横になれない状態、「大発作」は苦しくて動けない状態です。また、発作とまでは言えない「喘鳴(ぜんめい)」という状態があります。これは喉がゼイゼイヒューヒューいうけれど特に苦しくはない状態です。(以上の分類は画一的すぎて実際の治療にはそれほど役立たないというのが私の感想ですが、ここでは参考までに紹介しました)
 発作には咳発作というものもあります。まるで風邪のように咳ばかりが出る喘息です。ただの風邪だと思って放っておくと重症化してしまう恐れがあります。
 喘息と風邪との混同視はよくあります。咳をしていると喘息だと思われたり、喘息だといっても風邪の一種だと思われたりします。この混同視は素人に限って見られることではありません。医師でさえこの間違いをしてしまうことがよくあります。医師の場合は喘息を風邪の一種と見ることはありませんが、はっきりした症状のない患者をただの風邪だと診断してしまうことがよくあるようです。確かに初期の喘息の診断は非常に難しく、さまざまな検査をしても喘息と診断されないことがあります。症状が重くなってはじめて喘息と診断されるケースは後を絶ちません。
 喘息は、発症と同時にいきなり重症になる病気ではないようです。長い年月をかけて徐々に重くなり、慢性化していく病気です。初期から重かったという人もいますが、それは発症していたことに気付かなかっただけだと思います。初期のころは発作の回数も少なく日常生活に支障が出ることもないので、ただの風邪だと判断したりして治療を受けずに放っておく人が多いのです。
 喘息は世界的にどんどん増えています。この背景には、医師、患者、そして一般の人たちの喘息に対する誤解や無知などがあると考えられます。


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